人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2009年 05月 02日
白い歯・経年変化
 このコラムは「白い歯」というタイトルになっています。しかし実際に目標にしているのは白い歯ではなく、逆説的ですが白さが際だたないような修復なのです。周囲の天然歯の間に入ってどれが修復した歯か分からないような状態こそがわれわれの理想なのです。

白い歯・経年変化_f0103459_1864229.jpg ここに3枚の画像があります。一人の患者さんの28才から60才までの記録です。もちろんカメラもストロボも違いますし、記録方法もスライドからデジタルに変わっていますから、厳密な比較は困難です。 しかし1976年から2009年までの間にさまざまな変化がありました。最初の修復の後何度か処置を繰り返しましたが、その年数は中段の画像に書き込んであります。
80年代に大病をされ追加処置をできるようになるまで大きなブランクがありましたが、70年代の6本のメタルボンドと90年代以降のコンポジット充填に2分されて、興味深い変化が見られます。

 その第一は上段から中段への天然歯の色調の変化です。メタルボンドをとりかこむ犬歯などが大きく変化し,結果として不透明なクラウンの白さが際だっています。もちろんコンポジットはこの時に残存していたものでその前に再充填は行われていますから、30年を越えたメタルボンドと同列で比較はできません。最少の再処置でこの状態を改善する方法を模索した結果、正中で根面の着色が著しい中切歯2本をジャケットクラウンに交換し、変色著しいコンポジットは再充填を行いました。もちろん3本の小臼歯も気にはなるのですが今回は見送りました。ジャケットクラウンは歯頚部のマスキングに留意するとともに,周辺残存歯との中間を目指しました。

 このケースから学ぶことは健全歯といえども変化はまぬがれない経年的色調の変化の中で、ただ白さを追いたい人はメタルボンドもやむを得ないでしょうが、やはり透明度の高いオールセラミックスやレジン充填は自然観を確保できるだろうということです。

by my-pixy | 2009-05-02 08:34


<< 白い歯・経年変化      白い歯・HP用 >>