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2010年 05月 13日
我々はどこへ行くのか
 いつものケースプレとは違う話題を取りあげることを目指して始まった「まだ名のない会」第4回は、かつては仕事仲間、定年退職後は大変身されて仏像彫刻の日々を送られている端さんに、いやがられながらも無理無理お話しをお願いしました。下手に要約はできませんので頂いた講演原稿から抜粋させて頂きます。
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「私は7年前に、40年近くお世話になった会社をリタイアーしたのですが、会社にいるときはご他聞にもれず仕事人間で、いざ仕事を離れるということになると、気持ちが楽になるのと同時に、なんとなく、心細さのようなものを感じました。その心細さというのは、仕事に追われてあまり意識していなかったのですが、だれにでも間違いなく来る「死」ということでした。そこで、以前から興味のあった仏教を中心にした東洋的な考えを少し勉強しようと思い立ちました。

 お金はないのですが、時間だけありましたので、仏教関係の学校を覗いたり、坐禅道場に通ったり、念仏道場に通ったりもしてみました。その時知り合った何人かは得度をしたのですが、自分は俗から抜けることができずに、現在に至っております。
 仏像については、彫刻か陶芸のいずれかをやりたいと思っていたのですが、仏教に関連しているということで、なんとなく仏像の一木(いちぼく)彫りを始めました。これは彫っている間、気持ちが集中できるのと木の中から仏様が現れてくる感じが自分には合っている気がします。」
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 この後自作の達磨大師像を彫るときイメージされていたという横山大観の『屈原』という絵のお話しに入っていきました。ダルマさんは知っていても、横山大観、岡倉天心、屈原、菩提達磨と端さんのイメージについていくことはできず、意識が遠くなられた方もおありと思いますので。頂いた参考文献の一部をご紹介します。

1.『美しい日本の私』 川端 康成 講談社
2.『明恵』 白洲 正子
3.『道元の歌』 松本 章男 中公新書
4.『ディープエコロジー』 アラン・ドレングソン 昭和堂
5.『犀の角たち』 佐々木 閑 大蔵出版
6.『日本的霊性』 鈴木大拙 岩波文庫
7.『資本主義はなぜ自壊したのか』 中谷 巌 集英社
8.『新しい仏教の探求』 玉城 康四郎 大蔵出版
9.『瞑想と経験』 玉城 孝四郎 春秋社
10.『誤解された仏教』 秋月 龍民 講談社
11.『パウロ・親鸞・イエス・禅』 八木 誠一 法蔵館
12.『仏教とキリスト教』 瀧澤 克己 法蔵館
13.『キリスト教は仏教から何を学べるか 法蔵館
14.『形相と空』 河波 昌 春秋社
15.『華厳の思想』 鎌田 茂雄 講談社
16.『自然農法』 福岡 正信 春秋社
17.『豊かさとは何か』 暉峻 淑子 岩波新書

 お話しは自己の存在を、人類発祥の歴史と宇宙という時間空間のなかでとらえることから始まり、後半では環境汚染やグローバリゼーションの進展へのいくつかの苦言もあって実に重い一時間でした。これだけの原稿をまとめて頂くのに、決められたライフワークの手を止めさせてしまったことを反省し、暫くは復習の日々を過ごしたいと思います。

by my-pixy | 2010-05-13 21:05


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