2010年 12月 26日
オーバーデンチャー
f0103459_15395739.jpg 2008年9月にも書きましたが最近インプラント・オーバーデンチャーという言葉をよく見かけます。EBMが大好きな大学からも聞こえてきますし今後さらに増えるでしょう。しかしこの方達は1970年代に多用されたオーバーデンチャーのことをご存じでしょうか。
 インプラントを審美だけでなく、少数残存歯症例にも使うこと自体は大賛成です。しかし30年ほどむかし、多くの開業医が苦しんだ、ドルダーバーや根面アタッチメントの経験を無為にして、マグネットつきのインプラントを使うことは考え直してほしいものです。

 今の歯科医療は昔とは違うと胸を張る方と言い争おうとは思いません。しかし高齢者の義歯床に覆われた支台が辿る運命は、フリースタンディングのインプラントとは全く違うことだけは心して下さい。付着歯肉も十分とはいえない義歯床下のインプラントが、かっての天然歯支台と違うことは2次カリエスにならないだけです。さらにオーバーデンチャーにははっきりした定義も理論もないことも忘れないで下さい。ほしいところに支台歯がなくても、支台歯にするにはあまりに弱体でも、そのなかでやりくりしなければならないのがオーバーデンチャーでした。そこからの脱出に30年の年月を費やして取り組んできた、動揺せずハイジェニックなパーシャル・デンチャーの原則はこれからも揺らぐことはありません。

 これらの処置が行われた1970年代、パーシャル・デンチャーの維持装置といえばクラスプのみで咬合支持という概念もありませんでした。鉤歯となる歯が次々と失われ、義歯の沈下が止まらないことを何とかしたいという思いだけでオーバーデンチャーに飛びつきました。しかしここに見られるような悲惨な状態に追い込まれ転進を迫られました。あいまいな緩圧理論を捨てて咬合支持の考え方を明確にしたのはすれ違い咬合との葛藤です。支台歯のC-R Ratioなどというドグマよりプラークコントロールの方が遙かに重要なことも学びました。

by my-pixy | 2010-12-26 10:39


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