2012年 11月 11日
土曜日の午後、あてもなくやンネルを回していてこの番組にゆきあたりました。重いタイトルでやや戸惑いがありましたが「今、ここにはツナミ以前の何の面影も残ってない」というファーストシーンと。淡々としたナレーションに引き込まれました。 ところどころにご本人の実体験を説明するためのシーンも出てきますが。90%以上は聞き手のアナウンサーと岡部先生の対話で、東北大学卒業後呼吸器外科医としてスタートしてから、その節々で出会われた印象に残る患者さんとの思い出を、医師としてより患者の視点からふり返られていることが印象的でした。 40代前半のころ、治癒が望めない患者が自ら退院してしまい、初めて在宅での看取りを経験されます。在宅緩和ケアで住み慣れた家で家族に囲まれて、身体的にも、社会的にも、病院よりもはるかによい患者をみて「一体、おれは何をやっていたのか」と思い、終末期の患者をどんどん家に帰しました。当時は、一つ一つの経験がとても新鮮でした。」 「その後在宅緩和ケアを目指し1997年に岡部医院を開きました。在宅で良い看取りをするためには、医師や看護師だけでなく、作業療法士やソーシャルワーカー、介護員、鍼灸師、臨床心理士など多職種の緩和ケアチームが出来てしまった。結果的に、それは他の国の在宅ホスピスと同じやり方でした」。この後、岡部先生ご自身の胃がんが発見されます。 こんな中で大震災は起こりました。総人数90人ほどになっていたスタッフの要だった看護師さんがツナミで亡くなられました。医局のミーティングにはいつも見守っている彼女の遺影があります。また多くの看取り経験をふまえて「お迎え」体験に注目されるようになります。一昔前「臨死体験」などともいわれていた体験を多くの人が語ると云うことです。 ラストシーンはお寺の境内か、末期の方々のはなれのような小さな家が点在する小さな森の光景でした。その一隅にはツナミで亡くなった看護師をイメージしたお地蔵様が、赤子を抱いてひっそりと佇んでいました。 (岡部 健先生は本年9月27日に亡くなられました。今週末11月18日、東北大学で追悼シンポジュームが行われます。また文春12月号に亡くなられる6日前の対談が掲載されています。) 岡部健 室長 こころの相談室
by my-pixy
| 2012-11-11 13:33
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