2014年 05月 12日
1964年12月25日 羽田
f0103459_14352342.jpg大勢に見送られゲートインする。ゲートから22番までの距離はきわめて長く途中よりカバンを床の上を引きずりながら歩く。タラップを登るときSがスキーの持ち出し申告を忘れたことに気がつき慌てたが時間なくあきらめる。搭乗後約15分でスタート。大変遠くまで曳航された後Uターン、スタートし一瞬の中にぐんぐん加速、空中に浮き上がる。助走の短さは外から見る時と同じで、全く一瞬にして何の予告もなくあっさり地面を離れ、右に傾いて旋回しながら急上昇していく。全く何の不安感もなくスポーツカーでシフトダウンしていっぱいにアクセルを踏み込んだ時と殆ど同じ感じで、気がついたら地上を離れていたということだけだ。一二回耳抜きを繰り返す中に、後方に見渡す限り灯の海が拡がる。一面に色々な光の点が散りばめられている。交通事故を表示するマップのピンの色やアレンジを思い出す。鋭角の翼の線がこの灯の海の美しいレーンをトリミングしていく。
 真下には灯台と船の灯が一塊になっている。きれいだなーと思っている中にガスで一度二度消えやがて翼の下で点滅する赤い灯を残して一面の闇になる。時折、少し揺れるが飲み物の注文やら色々な書類などがまわってきて忙しくなる。スタート後30分あまりするとかなり寒くなる。PM11:00食事がくる。機内は思ったより狭いがシートなどは、ほぼ一等車並みだ。サービスはとても列車の比ではなく最高にご機嫌。Sはスコッチ水割りが¥180だと気を良くしている。外でゴーゴーと云う音と時たま揺れる以外とても空を飛んでいるとは思えない。
 芝居のセットの中にでも座って効果音が流れているようで、時速800kmで飛んでいるなどという感じはまったくない。乗客は座席のちょうど一割位だろうか。かなり少ない。眠ろうと思っていたらスチュワーデスが別のシートの間の肘掛けを外し3つ分のシートに横になれるようにして毛布、枕など用意してくれる。これは快適と思ったが、暑かったり寒かったりでほとんど眠れぬ中に物音で起き上がると朝食が運ばれてくる。なかなか美味しく快適に食べられる。

 飛行機は乳白色の空に貼りついたかの様にやはり全く動かない。翼にはプロペラもないから何万馬力かの分からないエンジンがガソリンをバリバリ喰っていることも分からない。トイレのドアーを開けて驚いた。広くはないがおよそ考えられる総ての物がまわり中にビッシリ組み込まれている。シートの紙カバーから資生堂の各種化粧品までが全く要領よく収まっていて文句のつけようがない。最後に水を流そうとボタンを押したらインクのような液体がザーっと流れ出したのには全く予想しなかっただけ度肝を抜かれた。こんなトイレはどんな一流ホテルも到底、太刀打ち出来まい。とても一度では全部は楽しめない。また改めて出直そう。飛行機はときどき乱気流にでもぶつかるのか暫く揺れることがある。その揺れ方が船が波に揺られるような感じとは全く異なって、淡々とハイウェイを走っていたスポーツカーが突然砂利道に飛び込んだ時のようにガタガタと小刻みに揺れる。普段が大変静かなだけにあまり良いものではないが気分の悪くなるような揺れ方ではない。

9時頃雲がきれて下にかなりの大きさの島が見え少しづつ高度を下げ始める。やがてオアフ島とおぼしき島が現れる。あこがれのハワイ航路だ。Sがカメラを引きづり出してソワソワし始める。こちらも付き合いで撮り始めようとしたら怪しげな音がしてカメラはストップ。慌ててダークバッグ。その後は恐る恐るだったが一応順調で一安心。島はどんどん近づき人家や軍用飛行機場などの上をかすめるようにして無事着陸。ブレーキの効き方なども感じのよい車のブレーキと同じで高速から低速まで同じように良く効く。停止前に乗降口が開けられ停まるとすぐ乗客はぞろぞろ降りて行く。スピーディーだがこれでスチュワーデスの笑顔の見送りでもなければすこし味気ない。タラップの前にwiki wikiと書いた、ふざけた絵のついた一見電車風の二両編成のディーゼルカーと覚しきものがきている。走り出したかとたかと思ったらほんの200m位で一時停車。かと思うと皆がぞろぞろ降りて行く。羽田のゲートからタラップまでの1/10位の感じだ。
預けてあったスキー等を受け取り手押し車に乗せて、また数メートルで税関。どうもテンポが合わない。税関の奴はエラそうな顔をしていたが、板から外してコートのポケットに入れていたビンディングは、最後まで何のものか良くわからなかったらしい。まあ無理もなかろう。

by my-pixy | 2014-05-12 11:24


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