2014年 05月 16日
1964年12月27日 サンフランシスコ
 パンアメリカンのジェットは総ての点で日航より劣った。しかし機内の食事はやはりうまい。雨のサンフランシスコ空港に着く。タラップがそのままの高さで建物に続いていたり、廊下やロビーの感じなどホノルルとはダンチでやはり本国と田舎町の差をピンと感ずる。コンベアから回転する円錐型の円板の上にはきだされる荷物のキャリアなども心憎い。周囲の人間からもいよいよ本国に来たという感が強い。雨と荷物でしぶしぶタクシーに乗る。ヒドい車だ。ドアトランクは力任せでなければ閉まらないし、ハンドルも歪んでいて丸くない。
 片道3車線位(日本なら5車線)のハイウェイを100km以上で走っていく。雨だし車の程度を考えると恐ろしいが、道路はこれこそ確かなハイウェイだ。ハワイにはとてもこのクラスのものはなく日本の高速道路をやや程度をよくした位だがこれは全く別のものといった方がいい。名神と云えどもこの半分にも満たないだろう。右側通行もまたぴんとこないしレンタカーを借りてもとてもこのスピードの流れには乗れずパトカーに最低速度違反で捕まりそうだ。もしそうなったら大きな証明書でも書いてもらって日本に持ち帰り、ホンダの後にはりつけて走ってやろうなどと考える。
 ハイウェイの両側には大きな起伏が続き街の灯がいっぱいに散りばめられている。車の速度のせいかタクシーメーターがどんどん上がっていくのが気になる。やっと8ドル近くなってホテルについた。どうみても他の支出に比してアンバランスに高い。荷物をほうりこんで再び街に出る。9時、ほとんどの店は閉まっているがウィンドーも店内もあかりをつけたままで、そのディスプレーは中の品物に全く興味がなくても楽しい。高島屋のウィンドー以上のものが色々趣向をこらして並んでいてハワイが急に田舎臭く色あせてくる。キャフェテリアのハンバーガーが大変うまくこの食べ物の認識をあらたにした。バレンタインなどを仕入れて帰る。

 ふと目を覚ますとSが地図を広げている。何時だと聞くと3時だと云う。眠りそこなったとぼやいている。これで今度はこっちがおかしくなった。うつうつしながら又眠り込み水を飲もうと起き出すと外は薄明るくなっているがこの間の時間の経過が全くわからない。時計は7時だがそれにしては大分暗い。Sももそもそ起き出し7時だと云うと夕方の7時かも知れないと云い出す。そういわれるとそんな気になって心配になってくる。何分にも相次ぐ時差の修正とウィスキーと睡眠薬の併用などでどうにもよくない分からない。夕方だとすればチェックアウトを過ぎて料金をとられるしロス行の出発時間も切迫している。仕方なくテレビのスイッチなど入れるがよく分からない。不安な十数分の後やっとGood morningという挨拶を聞き一安心する。どうも少しイカレテきたようだ。

f0103459_13471423.jpg こんなことで睡眠不足の上塗りを重ねることになった。仕方なくシャワーなど浴びて出掛けることにする。昨夜の予定に従い先ず名物のケーブルカーに乗りFisher mans wanfなどへ出掛ける。少し雨に降られるがやがて朝の陽差しに恵まれ相変わらずカメラをふりまわす。横浜の桟橋みたいな所だがこの辺りの店だけはなかなか良い感じの店構えだ。もちろん街中とは違うがそれなりにしっくりしている。ところが同じ並びの土産物屋は全くいただけない。ひいき目に見ても日本の観光地と同じ様なものばかりだ。むしろ若干それより程度が悪い。どうしてあれほど美しい街を作りウィンドーの飾り付けをする人間がこういうものに興味をもつのか全く理解出来ない。

 S.F.Oは坂の町と云われるだけあって本当に町中が坂又坂でそれも大変急な坂が多い。しかし家はみな坂をそのままに階段状に整地しないままに建てられている。家と家の間はきっちりついている。車のパークがまたこのひどく急な坂に日本と同様ギッチリつめて停車している。よくあの急な坂にうまいとこパーク出来るものだと思うが驚くのはそれだけではない。同じ様に急な坂に横向きにパークしている所がある。スポーツカーのようにサスペンションの硬い車はともかく、キャディなどのポンコツはただでも柔らかいところへショックなどもいかれているので、片方はスプリングが伸びきってフェンダーからタイヤが丸みえになり、下の方はバンパーやエプロンが地面すれすれになってパークしている。われわれには恐ろしくてとてもあんな状態でパークすることなど考えられない。

 f0103459_9421112.jpgケーブルカーについて思い出したがこの乗り物は、現在では能率的でないということでほとんどどバスやトロリーバスに変えられてしまったという。したがって現在は観光客用になっているらしいが、乗っているのは必ずしも観光客だけではない。土地のお年寄りから若い人達にも大変愛されているという印象を受ける。みんながケーブルカーを大切に思いながら実用にも使っているのがよく解る。速度がさほど早くないから仲間を見つけて声をかけたり、飛び乗ったり、降りたり、ステップの所の手すりに立ってぶら下がったり。ひどい時は車輛の前後にぶら下がってしている。又それを危ないとか何とか色気のない事をいう運転手やお巡りもいない。若いカップルやらジーパンの連中やらが楽しそうに乗っているのは、このケーブルカーの姿を何倍にも引き立たせている。

 歩きまわった後カニを一匹買って食べる。塩ゆでだけだが大変うまい。今回日本を出て以来最高の食い物だ。バスでマリーナへ行く途中の住宅街の美しさは何とも書きようがない。同じようなしかし決して一つとして同じではない色が淡いパステルカラーの濃淡で延々と続いている。おとぎ話のお菓子の家のイメージがぴったりする。何れもの家がきれいな色にぬられ妙に新しいものも古くくずれ落ちそうなものも一軒として見当たらない。総てが家の前の芝生や植木に至る迄よく手に入れされ、窓々にはこれも又ほとんど同じくらいの大きなクリスマスツリーが飾られている。それでいて決して全く画一ではない。これがどういうことなのかわれわれには理解が出来ない。いくら所得が同じ考え方が似ていてもこうも同じようにはならないだろうし自己主張もしたくなるだろう。と云って公団のようなスラム的な臭いは全くない。家の窓にも通りにも殆ど人影がないことは不思議だった。休暇で何処かに出掛けたにしては車が各家毎に止まっているし日本的な塀に囲まれた庭はなさそうだ。全く不思議な国に迷い込んだという感じだった。マリーナには豪華なヨットが沢山並んでいたが、これは予想通りで特に印象に残ることもなかった。

 食事の事では殆ど店頭に価格をはっきり書き出している。また店の中にはそれぞれのメニューの内容をこと細かに表示している。例えば1/2ポンドのハンバーガーとか、厚いハムと大きな卵2ヶのハムエッグといった感じで。ただ卵と書いてあるものもあるし1/4ポンドのハンバーガーと書いてあるものもある。あまりうまいとは思えないし安くもないが量は充分である。この点は日本の飲食店と対照的だ。立派なレストランやホテルなどでも同様である。
 S.F.Oもその広さは大変なものだと思ったがロスは又この比ではないらしい。機上からもその広さは推察される。JETが高度を下げるほどにその広大さ点がはっきりする。それとS.F.Oもそうだったが機上からの夜景で市街がはっきり区画されていることが分かる。ハイウェイが太い光の帯となっていることでその規模が推測出来る。東京の夜景はただベタ一面の光の海で線がなかったのと比べると、道路率の差や都市計画の差がよくわかる。

by my-pixy | 2014-05-16 13:24


<< 12月28日 ロスアンジェルス      1964年・12月25日 ホノ... >>