2015年 05月 15日
咬合支持歯再考・支点とテコ
f0103459_13535838.jpg 1970年代、すれ違い咬合初期熱中時代のことです。欠損歯列を上下の咬合支持と、補綴部位の重圧条件、対顎の加圧要素の3つから考えていくという発想はそれまではありませんでした。完全なすれ違い咬合になれば咬合支持歯はゼロになるのですか、それ以前の状態でも支持部位は少なくなっていますから、その保全は何にもまして重要な要素でした。
こうした考え方は、初期のTDC卒後研修や1981年に発足した「臨床歯科を語る会」などで火曜会のメンバーととも発表し、「臨床ファイル」などの著書でもくり返してきました。3要素を同時に考える「咬合支持指数」もそんな中でのアイディアでしたが、あまり実用にはなりませんでした。


 三要素の中での優先順位は1.咬合支持、2.受圧、3.加圧の順と考えていましたが、経年経過の中で孤立した咬合支持歯が移動や挺出より、義歯の槓杆現象の支点になることに最近気づきました。症例を見直していくと同じ現象が出てきました。臨床ファイル2パーシャルデンチャーの100症例の中の99番のケースです。(下の画像はここには掲載しなかった1971年のパノラマです。)掲載した原稿に間違いはないのですが、経過についての解釈は違った見方もできるようです。
このケースでは左下23の圧下を期待して強固な支台装置を使ったつもりでしたが、圧入はそれほど起こらず術前の下顎両側臼歯部の吸収もそのままでした。Case.96にも同じような状態が進行しましたが、これらはすべて残存した犬歯と健全な歯周組織が支点になって遊離端欠損義歯というテコによって、対顎の顎堤を吸収させていったことを物語っています。歯牙+歯根膜の基盤は盤石で、テコは有効に機能します。下顎臼歯部に見られる大きな吸収像は、挺出した上顎歯牙による直接的な破壊よりも、がっちりした支点とテコの仕業だったようです。支点を動かしたりテコの効率を低下させられれば有効な対策になるはずですから、プリミティブな対顎へのインプラント埋入よりましな改変になりそうです。少なくともシングルデンチャー対策としての上顎7抜歯などは、みるべき成果を上げていますから熟慮した上での引く改変は今後の課題です。
f0103459_17105727.jpg

by my-pixy | 2015-05-15 13:49


<< 一期一会      ティアラからジョーズへ >>