2015年 07月 22日
上顎前歯部は固定性に!という要望
 昨日の土竜のトンネルには大勢お立ち寄り頂きありがとうございました。基本ゼミでは異例のしつこさでお話ししましたが、まだまだ先が心配です。患者さんの「前歯部だけは固定して」コールは簡単に鳴り止まないからです。要望に引きずられて一次固定にすれば簡単に一件落着します。しかしこちらの意見を貫徹すればあとあとまで、なんだかんだとクレームがつきます。それにもめげず不退転の決意が夏休みに流れ去らないよう、語り部からの応援歌です。

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f0103459_9482459.jpg 1987年、当時56才の女性です。少し年上でしたが初診時から激しい戦いは始まりました。旧義歯を改造したプロビジョナルはしばしば破折しました。これ見よがしに糸で縛ってやってきて「一次固定!一次固定!」です。それでもいうことは聞かないとなると、今度は新聞切り抜き攻撃です。ここで気を許して1回でもTEKの仮着などをしようものなら敵の術中です。反対に「それじゃその大学に行かれたら・・・」とつっぱなし「忍」の一字です。最後まで2次固定で良かったという言葉は聞けませんでしたが、装着後20年間、定期診査には通院されました。
 この一症例だけからでも2次固定の素晴らしさを数々見て取れると思います。ほとんどホープレスとも思われた上顎前歯群が20年間もパーシャルデンチャーと一体になって機能してきたことは、2本の犬歯によるところが大きいと思われますが、同時に歯と顎堤粘膜との協調も見逃せないでしょう。
 話題は変わりますが、もしこの患者さんが長命であったとしたら、きっとシングルデンチャーになっていかれたであろうことなど経過観察にはたとえ20年ほどであっても、つきぬ楽しみがあります。女性には多く、男性には見られぬ現象だからです。


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by my-pixy | 2015-07-22 09:13


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