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2015年 08月 02日
職業寿命と歯科臨床の推移
 特異な一症例ではあったが、患者32才、術者41才という比較的若い年代であったことで、40年あまりを継続的に見ることができた。不運なスタートではあったが変動する歯科臨床の中で幸運にも恵まれ、無理のない推移を遂げてくれたことには幸いだった。例え一症例であってもこうした術後経過から学ぶものはあまりに大きい。
 これに匹敵するケースは持ち合わせないが、類似したケースなどをつなぎ合わせることで患者のヒストリーが読み取れ、そこからわれわれGPのあり方について示唆されることも大きい。特にこれから臨床第一線にスタートしようという人たちにはぜひバトンを引き継いでほしいと思う。下図は術者年齢と患者年齢に、その時々の主要テーマになるであろう課題をからみあわせて一枚の図にした。
 プロトタイプは前回ゼミのプリントに入っているので、いま基本ゼミを受講中の方々は自分の立ち位置をプロットして考えてほしい。私のポジションは右側ブルーの部分で、まもなく枠外に出ようとしているが、上段の各テーマはその年代ごとに精一杯追いかけてきたつもりだ。
 グリーンの時代には患者さんの要望にも応え、補綴処置の予後について少なくとも10年、希望的には20〜30年間などと考えていた。しかしブルーの時代に入ると、患者さんの要望も「当面無難に!」に変わり、こちらも「追加処置容易なこと」が最上位になってきた。疾病形態が変わり、これまでは経験しなかった咬耗、破折などに悩まされることになったためでだ。目標は一桁に下がり、追加処置が容易なことが最優先になってきた。一次固定を目の敵にし始めたきっかけはそんなことにもあるようだ。

 下の新聞切り抜きは先日のケースのカルテの間からでてきてものだ。日付はないのでよく分からないがちょっと面白いので。
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by my-pixy | 2015-08-02 09:43


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