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2015年 12月 19日
全力投球からの曲がり角・2
全力投球からの曲がり角・2_f0103459_12575559.jpg全力投球からの曲がり角・2_f0103459_11122866.jpg 待ちかねていた矯正治療が終わりボールはこちらに回ってきた。これから始まる全顎処置の各ステップはこの日を待ってすべて確認済みだったが、気負いとの背中合わせだったことは否定できない。なかでも全顎印象はスタートの山場と予測していたが、28本の印象には同じ数のTEKの脱着と有髄歯の浸麻が必要で、それを含めてすべての処置を時間内に完了することがこれほど厳しいとは予想していなかった。すべては日常行っていることと何も違わないし、チームワークも申し分なかったが「数の重圧」はそれを上回った。
何とか終わらせたものの何度印象を見直しても、これで物語を始める気にはなれなかった。半日をかけた印象は次の個歯トレー用の印象にしかならなかった。40年以上の年月が過ぎてもこの日の落胆は決して忘れられない。
 なぜこんな話をもちだしたかというと、来年予定されているエントリー10症例はペリオによる欠損があっても10〜20歯が残っている。どんな設計になるにせよその大半は要補綴歯である。しかし、その中にはKA367で小文字で表記されたグレーな歯が多く含まれている。保存か抜歯かも決まらないものまで引き連れて旅に出ようというのだ。さらに咬合が低下したケースやプロビジョナルもあやふやで慌てて出掛けようとしても楽しい旅になるはずがない。いつ雪が降ってもおかしくない時期にスニーカーで登山しようというのに似ている。古いと言われても、われわれは予後がほぼ確定できるか、術後の対応がはっきりしない限り補綴設計はできない。それまでは暫間固定でいくしかないと考えている。

by my-pixy | 2015-12-19 11:15


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