人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2006年 08月 04日
上顎の前歯部ブリッジ 2   Case 9
 長期的に通院されている患者さんですが、歯周病の進行を止められず大臼歯の支持はほとんどなくなってしまいましたが、咬合力はそれほど強くないらしく薄氷を踏むような状態が続いています。
上顎の前歯部ブリッジ 2         Case 9_f0103459_1117560.jpg
2001年上顎中切歯を喪失しましたが、大きな補綴処置にはしたくないのでこの部分だけの3歯ブリッジを考えました。唇側のエナメルを保存するために舌面板を支台装置にすることは決めていました。Case 8のトラブルはまだ経験していませんでしたが、メタルの方が無難ではあることは分かっていました。ただCase 4の記憶もあり、クリアランスには余裕があるので、エンプレス2のコア材を厚めにすれば可能なのではないかと考えました。
 撤去のことはかなり意識していましたので、接着頼みで長いポストなどは使用しませんでした。インセラムに較べれば弱体なエンプレス2ですがこの条件なら耐えられるのではないかという想定でした。
上顎の前歯部ブリッジ 2         Case 9_f0103459_1355204.jpg
 しかし期待は脆くも破れ、2年弱で21の連結部にクラックが入りました。破断面で引っかかっているらしく、この時点で患者さんからの訴えはありませんでしたが、実験は完全に失敗です。インセラムよりは楽でしたが接着状態は良く(時系列にはこの撤去の方が先)歯質とエンプレスの識別は困難でした。
 Case 4に較べれば、コア材の強度は2倍近いにもかかわらず短期間で破折したことは、僅かながらこちらの方が支台歯の動揺があることと、上下顎の違いと考えられました。

by my-pixy | 2006-08-04 11:20


<< プアマンズ空撮      上顎の前歯部ブリッジ  Case 8 >>