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2011年 07月 29日
寒天に近いアルギン印象材(9)
 アルギン印象材の良否をWeb画像で表現することはできません。しかし偶然にも似た幸運で、希望に近いアルギン印象材に巡り合いました。黄色い方がその印象材アルジスターです。その印象は言葉での表現も困難ですが、日々アルギン印象に付き合っている3人で被験者になり、連続的に2種をテストしました。
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●.まず最初の被験者になった衛生士の辯です。「硬化時の締め付け感がない。撤去時の歯が抜けそうな引っぱられる怖さがなくスーと外れる。」
●.2番目はテクニシャンです。「ピンクのアルギンは陰圧でなかなか取れないが、アルジスターは豊かな弾性で外しやすい。」
●.3番目は私です。「撤去後の軽い痛みのような不快感がなく、優しく包帯でもされているよう。限りなくフル寒天の感覚に近い。」

 3人に共通なことは、面が滑沢で滑りがよく、ソフトな弾性がある」ということのようです。古参メンバーの意見一致しましたので来週から完全切り替えです。もちろん印象面もきれいですしトレーとの僻着も良さそうですから、これに合わせてトレーも改良して行きます。

 昔からの材料で安易に扱われ、価格競争にさらされるだけで見捨てられてきたアルギン印象材ですが、今後もこれに変わるものはなく、臨床の大きな部分を背負っていくことは間違いありません。その本来あるべき姿を理解しないメーカーが、作る側の論理でユーザーに媚びるような製品開発をすることは許されるべきではないでしょう。印象後の経時変化の大きさだけを見てもそれを良しとする歯科医はいないはずです。比較に使ったピンクのアルギンはAP1と同じ会社の製品です。平均点以下のアルギン印象材ですが、それでも高級なAP1に較べればはるかにましでした。

http://www.san-esugypsum.co.jp/newalgistar.html

by my-pixy | 2011-07-29 14:37
2011年 07月 28日
実験してみると(アルギン印象 8.)
f0103459_947294.jpgf0103459_11465775.jpg トレーも揃ったところで印象材との関連も含め実験を始めました。7.19の下の画像のようにしっかりアルギンが回ってくれるには、トレーにスパチラで押しつけることが必要で、小さな穴のトレーは不利と思っていました。(矢印のような保持機構は良さそうですが、今こんな形の金属トレー作ってくれる会社はないでしょう。)


 実際にやってみると、穴の大きさよりスパチラの圧接操作の差の方が大きく、パンチ穴の差はあまり出ませんでした。われわれの常用品と較べ、A1αはメーカー指示の混水比では固すぎて、15%水を増やす必要がありましたが、AP1はさらに流れが悪く圧接操作もやりにくいと不評でした。


 同じ会社の製品でもAP1はアルギン印象材らしい性格が希薄で、弾性に乏しく経時変化も明らかに大きく、30分ぐらい経過してトレーから外すときには、弾性がほとんど失われぼそぼそで片顎トレーでも一塊では外せません。このことはトレーから外れやすいことにもつながり、ボタン一つで練和されたペーストが出るということ以外には何の長所も見いだせませんでした。

by my-pixy | 2011-07-28 08:47
2011年 07月 25日
対合歯用トレー(アルギン印象 7.)
f0103459_9252380.jpg週末は2011基本ゼミ第4回でしたがブログでアルギン印象の話しを読んだ受講生の方が、全顎対合歯専用パンチトレーをもってきて下さいました。 対合歯の歯列のみと割り切ったことで、上下顎併用 S.M.L の 3つだけに限定して製品化を容易にしたのでしょう。見かけよりは丈夫そうですが周縁が切りっぱなしで後縁のカットが悪いので試適時快適とはいえません。上の段はアンダーカットの影響を少なくしようという、われわれの昔々の試作品です。脆弱で歪みを内蔵しやすいが必需品でもあるアルギン印象材とどう付き合うかについて、これまでに得られた結果は以下の通りです。

1. リムロックトレーと印象材との結合は不十分で印象撤去時にずれやはずれが起こりやすい。

2. その防止を目的にしたアルギン接着材はその効果があいまいで問題をかえって分かりにくくする。使用後の清掃性にも問題はあり使うべきではない。

3. リムロックに較べると、保持孔の部分の観察でトレーと印象材の結合状態をチェックできるパンチ孔つきトレーは有利だが、印象圧はかかりにくかったり使い方はむずかしい。

4. 印象撤去時のはがれや歪みを防止するには、徹底したアンダーカット対策が必要で、印象範囲を不用な部分に拡げないことや、歯冠空隙などの埋め立てに手間をかけることが必要である。

5. 総じて簡便に使えるアルギン酸印象材ほどデリケートで、使用者の配慮次第で大きな違いが出る材料はないことがはっきりした。

by my-pixy | 2011-07-25 08:17
2011年 07月 23日
練るセンター(アルギン印象 6.)
 私達の診療室のど真ん中にある練和のキャビネットです。ミキシングチップなどに荒らされてはいますが、それでも補綴大好き歯科医にとっては本丸天守閣です。この中には、先日話題にしたサージデントのハイドロコロイドコンディショナー、ミクロナのアルギン練和器など四半世紀ものの器具がいくつかあります。SLには及びませんが、作り上げた職人さんの気概や温かみが感じられ、23キロの重量感とともにMade in Chinaだらけの現代ものとは何かが違います。
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by my-pixy | 2011-07-23 11:40
2011年 07月 22日
アンダーカット対策(アルギン印象 5.)
f0103459_1075597.jpg 濡れたものに着く接着剤などないと割り切れば事は簡単になります。撤去時に印象材をトレーから引きはがすような力を、徹底的に排除すればよいのです。上の画像は試作してもらって時々使っている深さ約9ミリの浅いリムロックトレーです。試作を途中放棄して製品化には到らず、大きさ形状などは揃っていませんが、対合歯用には重宝しています。

 歯間空隙にはユーティリティワックスでブロックしていまいたが、適量入れることがむずかしく、途中で外れたり、入れすぎたり、外すのに手間取ったりしていました。ハイドロを入れて硬化させてから印象するように変えてからかなりスムースになりました。

 この方法はハイドロアルギンの連合印象にも、シリコン印象にも使えますし、ポンティックの下などの大きなスペースには、石膏注入前にもう一度はめ込んで使うこともできます。ブロックの鬱陶しさは激減しスムースな印象撤去が可能になりました。
 だまされて回り道をしましたが、アルギン接着材などという怪しげな製品とは完全訣別です。

by my-pixy | 2011-07-22 15:21
2011年 07月 21日
ハイドロコロイド(アルギン印象 4.)
 どんなに素晴らしい弾性印象材でも強いアンダーカットがあれば、撤去時の変型の歪みを残してしまいます。そんなことはイヤと言うほど分かっているので個歯トレー法に執着しているのですが、アルギン印象となると安物ゆえに扱いが粗末になってしまいます。
 最初に全顎印象に取り組んだときは水冷式のトレーでハイドロコロイドを使いました。ナソロジーの人たちの影響ですが、クラウンのマージンなどに強いアンダーカットがあると千切れてしまって再印象を余儀なくされましたが、反面、採得された印象には歪みは内蔵していないという安心感もあり良い思い出として残っています。脆弱さのもつ功罪です。

f0103459_11463399.jpg 今回、何人かの方と電話でお話ししました。そのなかに今も全顎印象はハイドロコロイド単体印象!という方を発見、その魅力を熱く語られました。(ルパング島在住ではありません)うっかりハイドロアルギン連合印象に話しが及んだりするとフンと鼻でせせら笑われました。
 私達も同じ体験はしてきたので、コンディショナーは買えないので2800円の電気ポットを使うという昭和45年の原稿をお返ししました。
 この頃の思いを取り戻してアルギン印象に取り組めば何かが変わるはずです。

by my-pixy | 2011-07-21 11:46
2011年 07月 20日
接着材との訣別(アルギン印象総点検.3.)
f0103459_154121100.jpg アルギン印象 大点検は第2段階に入りました。まず廃棄の瀬戸際にある接着材が落ちないトレーを、接着材希釈液につけて超音波洗浄器で清掃しようとしましたが、これまで同様まったく受けつけません。

 もしかしたらということでレジンのモノマーで擦ってみると、何年も汚れっぱなしだった鳥もちが少し取れてくるようです。モノマーを浸したガーゼを暫くのせておいてからブラッシで磨くという行程で汚染トレーは劇的に甦って行きました。

 この反復で廃棄物はなくなり舞台は技工室に移りました。むかし使っていたことのあるダウエルピン植立用のドリルが登場し任意の位置に穿孔し、リムロックはパンチホールつきトレーに生まれ変わります。中間部の浮き上がりが防止できればよいので、それほど沢山の保持孔はいらないでしょうから、始めは少なめでテストしてゆくことにしました。それにしても、ほとんど水ばかりといってもよいものに使うアルギン接着材などというものに期待し、長期間ふりまわされていたことはお恥ずかしい限りです。

by my-pixy | 2011-07-20 10:38
2011年 07月 19日
トレー総点検(アルギン印象総点検.2.)
f0103459_115927.jpg アルギン接着材のついでに長年使用してきたトレーを総点検することにしました。総数は77でこの半数が全顎のリムロックトレーで、接着材被害はこれらに集中しています。使用目的はスタ模、ナイトガード、義歯の対合歯などに限られます。
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 単独から2〜3歯止まりの修復には、保持孔から押し出される印象材に気をつかいながら、片顎のパンチ入りトレーを多用しています。前歯部を加えても10個ほどが日々目まぐるしく回転しています。

 今回の第一目的はあいまいで清掃性の悪いアルギン接着材の全廃です。強度のある全顎パンチ入りトレーを探しサイズ形態などが確認されれば移行を進めます。汚染して清掃不能なリムロックは、総義歯用のプラスティックトレーなどととも廃棄し総数は50以下が目標です。
 もう一つ重要なことはリムロックのように閉鎖された空間の中の出来事は、途中で確認できないということです。印象材は両側のリムで押さえられていますが、中間の平坦面は接着まかせになります。チェックはできないまま模型はできあがり浮き上がりは誤差に直結します。

by my-pixy | 2011-07-19 11:59
2011年 07月 19日
トレーの明と暗(アルギン印象総点検.1.)
f0103459_16575397.jpg 共にアルギン印象に長年使われてきたトレーです。ただ上はメッキが剥げ落ちるほどきれいに清掃が繰り返されています。しかし下のリムロックトレーの方は表面に鳥もちのような接着剤がこびりついています。リムだけではアルギンの保持が十分ではなく、印象材の剥がれを防止しようとアルギン接着材と称するものを使用したためです。接着材を落とすためのクリーナーはなく、希釈液で擦り落とせといわれますが、1センチ角を落とすだけで根負けすること間違いなしで、一度使ったが最後あとは蠅とりリボン状態です。

 メーカーによっては水で洗い落とせるなどといっているいるモノもありますが、手に付いたものもなかなか落ちない割に印象材はペロリと剥げます。必要な時にはきちんと接着し、使い終わったら落とせるアルギン接着材などないのです。穴から出てきた印象材でひっかけるという歯科医の名人技で90%以上の石膏模型は作られていますが、個歯トレー、個人トレーなどにホールドされた印象とは大きな違いがあります。

 私自身シリコン印象は自分でも確認し、不安ならばラボで顕微鏡下でチェックしてもらいます。だめ出しをされて、個歯トレーに接着したシリコンを、ラウンドバーで削り落として再印象ということだってないとはいえません。それなのにアルギン印象となるとほとんどお任せで、お呼びがなければ次の仕事を始めています。システムとして落ち着いているつもりですが、まーいいか!で見過しているだけでシステムなど確立してはいません。内面の適合チェックは一歩進んでも時にバイトが高くなるトラブルは解消していないのです。無視してきたわけではないのですが「安物だからまーいいか!」を反省して徹底検証しようと心に決めました。

by my-pixy | 2011-07-19 10:39
2011年 07月 12日
東方学院仏像彫刻講座研究会員作品展
f0103459_7583491.jpg 2年ぶりの端さんの作品展に行ってきました。千鳥ヶ淵のインド大使館という会場に引かれてのお供つきでしたが、本人に何の予備知識もない折から、仏像について多少の知識は持ち合わせているお供にむしろ助けられました。思索的な雰囲気の無着、世親の厳しいまなざしに凍り付いていましたが、靖国神社のみたま祭りに賑わう、インド料理店の生ビールで解凍されました。

by my-pixy | 2011-07-12 11:33