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2014年 03月 18日
前後的すれちがいへの一矢(2.19初診.処置4回目)
f0103459_1841287.jpg パノラマX線を始めて見た時、5本の大臼歯をどうやって抜歯するかということだけを考えていました。いくら後が大変でも65才まで嵌合位なく補綴もせずにきた人にシングルデンチャー以外の選択肢はないと何の迷いもありませんでした。

それが週1回、延べ4回の処置で大逆転になるとは、当事者2人も、紹介してくれた技工士さんたちも考えもしなかったでしょう。しかし、もしかしたら?の奇跡は現実になりました。私にとっては生涯初めての対すれちがい戦の一勝ですからうれしくないはずはありません。キーワードはもくあみ会の「三脚思考」でお話しした「スロープ、てこ、くせ」バックミュージックは急速タッピング音です。このケースでは玄米のお粥しか食べていないという日常生活に注目し、僅かに滑走する下顎小臼歯の咬耗面は最少しか接触させず、骨隆起もある下顎遊離端義歯は動揺がでないよう義歯床の適合に気をつけました。

 f0103459_12515452.jpg予定していた今日の最大の仕事はプロビジョナルの交換でした。3時間の処置時間を目一杯にとって進めましたが、院内技工とはいえどんどん変化するチェアサイドのイメージについてはこれません。結局この第2次プロビジョナルは実用にならず、古いプロビジョナルを改造することになりました。上顎大臼歯は支台歯として活用していますが失活したくないのでアンダーカットだらけで無様です。どこで見切るか悩みの種です。
技工室の悩みはもっと深刻です。イカといえば切り身しか見たことがない山国育ちに、こちらの思いを口頭で伝えることは不可能です。半分ぐらいの指示でまかせるといろいろなイカがでてきます。チェアサイドから研磨の依頼で返ってくるイカの多様さに唖然とする日々です。少し追いついたと思ったら口蓋部の床は皆なくなって患者さんは大喜びですが、解体後のスルメが食用になる日は来るでしょうか。
メタボンやeMaxだけが歯科技工ではありません。CADCAMに渡すデータはすべて患者さんの口の中でそれを引き出せるかどうかが歯医者の仕事です。

 下顎は骨隆起もうまく処理できてほぼ安定していますが、カリエス処置やエンドの都合で支台歯の形が 目まぐるしく変わる上顎は、その都度安定度が変わり大喜びしていたタッピングサウンドも濁りがちです。目標は見えているのですがまだまだ時間はかかりそうです。

by my-pixy | 2014-03-18 18:41
2014年 03月 16日
2014 もくあみ会
f0103459_1995958.jpg 週末の2日間2014年のもくあみ会が東京で行われました。始まるまでは自分の準備に追われるあまり準備の進捗状況などが気になっていましたが、ふたを開けてみると発表者の若返りも見られ、先人の残されたすれ違い咬合と悪銭苦闘する彼らの奮闘ぶりには頭が下がる思いでした。
 第一症例など、画像の天地が逆になっているのではないかと思われるような状況で、こうした負の遺産からの脱却に苦しむ方達へのサポートは、今後ともわれわれ世代の責務であることを再認識しました。
 何といってもかって同じ釜の飯を食ったもの同志だからできる会話は私にとっても何よりのものでした。「すれ違い」という対象を話題に、臨床手技やデータを越えて、患者と術者両者のなまなましい経験を語り合えた3人のケースプレは迫真のフィナーレでした。

第一症例は偶然の出会いで始まった左右的すれ違い症例で、始めて経験する若い術者は、いままさに苦難のどん底ですがそれだけにすべてがなまなましく、長期経過症例では語りきれない「ひととくち」の物語りでした。その中で患者の正確な記憶から聞きだした既往歴は、私がながく思い描いていたクロス偏在物語りの生き証人そのものでした。すなわち現在70才の患者さんが
 1.  35年前左下67欠損発生
 2.  25年前支台となっていた左下45喪失
 3.  前歯、右上臼歯欠損
 4.  1年前同側犬歯喪失

さらに第2症例はすでに語る会で発表されていましたが、術者の身近な親族だったが故に望まざる方向に流れる崩壊を傍観するしかなかった25年の歴史と、追い詰められた土壇場での窮余の延命策の発表でした。
第4症例はすでに誌上発表もされている左右的すれ違いに対応した15年の経過でした。総べてが患者と術者の深い関わりをベースにしたものでCAD.CAMデジタル3Dプリンターの話しではありませんでした。

2〜3年が過ぎ、涙なしに笑って語れる時がきたらばぜひみんな揃って再発表のチャンスを作りたいものです。タイトルは「○○からの脱出」でしょうか。

by my-pixy | 2014-03-16 19:03
2014年 03月 05日
3つのプレゼン
f0103459_11442383.jpg 半ば偶然のことですが、来週から中5日で三回のプレゼンが続いてしまいました。火曜会、もくあみ会、そして2014臨床基本ゼミ第一回です。それぞれ30分程度の短い発表で、聞き手はそれぞれで入れ替わりますが半分は同じメンバーです。それぞれに合わせて異なる小さなテーマで発表を作れば無難なのですが何かしっくりしません。最後の今年の基本ゼミの受講生15名は20〜30代の若手で中には新卒に近い人も含まれます。ほとんどが初顔合わせですが何らかの期待を持ってこれから半年間、全国から通おうとされている方々です。これだけなら特に意識もせず好き勝手なことを喋れば良いようなものですが、この時には各回ゼミの講師を担当される火曜会主力メンバーが外野に並んでいます。「地味な臨床を地道に」を標榜する火曜会の自己紹介にもなるわけですからちょっと複雑です。3回のまん中のもくあみ会は基本ゼミの同窓会のようなものですが「臨床歯科を語る会」のアクティブメンバーの集まりです。
 
あれこれ考えた末、自分が後期高齢者となった1990年後半からの火曜会プレゼンをベースに、同じテーマで3つの組み立てを考えています。欠損歯列を見る目の変遷が基軸ですが、パーツとなるる症例には新しいものを加えて、火曜会とゼミとでは別の組み立てにする予定です。

by my-pixy | 2014-03-05 11:44