2006年 06月 22日
下顎の前歯 1      Case 2
個々の歯牙にはその種類と、おかれている顎骨の部位によって独自の特異性があるようです。数年前から、パーシャル・デンチャーの支台歯になっている下顎の智歯に注目してきました。それほど大事にされてはいないのに、大きな役割を長いこと担っていることが多いからです。あちこちでお話ししてもきましたし、2004年出版の「あるスタディグループの歩み3」にも原稿をまとめましたが、他の歯にも同じような特異性があることを感じています。

今回注目しているのは、一見弱々しく見える下顎の前歯です。下顎の犬歯は統計的にも最後まで残存する歯のNo1ですが、その庇護を受けていることや上顎前歯との力関係からでしょうか、こちらも馬鹿にできない生存率です。小さい歯なので修復処置は難しいのですが、条件には恵まれているのでこちらもよく残っています。
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このケースは1937年生まれの女性で初診は1965年です。この時上顎中切歯を昨日のケースと同じデービス・クラウンで補綴しました。こちらもそのまま使われていますが、今回のテーマは開面金冠と隙が装着されていた下顎前歯で、ブリッジを撤去した後傾斜移動でスペースをあつめ、ピンレッジ支台のブリッジを装着しました。ピンの直径は0.7ミリで専用の印象用ピンなどを使用しました。まだストロボが使えず大きな写真用のランプで正面観を撮影したことを覚えています。ポンティックはレジン歯を貼り付けただけでしたので、その後何度か口腔内で補修することになりました。あまりブラッシングが上手な方ではなく、歯石に埋もれていた時期もありましたが、最近は定期的なチェックでまずまずの状態を保っています。
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# by my-pixy | 2006-06-22 12:36
2006年 06月 21日
平穏で無事な45年  Case1
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 ネットでのケースプレ最初の患者さんは1926年生まれの女性です。すでに80才になられましたが、初診は1961年35才の時でした。自宅が近所で家族ぐるみのお付き合いをしていました。親しすぎて定期的なチェックなどはできませんでしたが、ご本人の丈夫な資質に恵まれて大きなトラブルもなく45年が経過しました。
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上顎前歯の補綴が主訴でしたが歯科大学を卒業して5年目のことで、記録もデンタル1枚しか残っていませんから、大学で使っていたトリオジンクパスタで根充したことぐらいしかわかりません。メタルボンドなどはありませんから、既成陶歯を削合しポストを鋳造して継続歯をセットしました。口腔内写真は73年以降のことです。
このケースで興味深いことは
1. デービスクラウンがきわめて長寿命で、下顎前歯のクラウディングが進みその圧痕が刻み込まれても問題なく機能していることです。同じような変化によってジャケットクラウンがしばしば破折に追い込まれるのと対照的です。(図3.4..)
2. 糊材の根充材が年々消失していったことも不思議な現象です。(図5.6.)
3. 溶解が問題にされるリン酸亜鉛セメントですが、このケースでは鋳造精度も高くない沢山の修復物が長期間使われています。(図7.8中の小さい白い数字は装着年です。)
4. 臼歯部の咬合も安定していてクレンチングもなさそうな平穏なケースで、これからも大きな問題は起こらないでしょう。いつもこう行くわけではありませんが、過剰防衛を戒めることにはなるでしょう。
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# by my-pixy | 2006-06-21 16:53
2006年 06月 20日
トンネルの向こう
 このところ望月さんのブログhttp://pilipinas.exblog.jp/には大きな影響を受けています。こんなライバルが歯科界にもほしいと思うことしきりですが、先日そんな思いをこめて初めてのメールを差し上げたところ、2時間ほどでお返事を頂き恐縮しました。
しかしミニリングをつけて診療室内を歩き回っても、あの美しい写真などとれるはずもありません。望月語録を読み返しながらまた考えました。

   1. 凝り固まった価値観からの脱却
   2. 撮影者が被写体に対して感動する必要がある。
   3. 写真って、人に見てもらってこそ楽しめるものです。

 これまで雑誌に原稿を書いたり、それらをまとめて3冊の単著を作ったりしましたが、その時の気持ちはここに書かれていることと変わりありません。同じスタンスはいまも失ってはいませんが、もう雑誌原稿を書くつもりはありません。多分ジェネレーションギャップなのでしょう。昔のように編集者に触発されることがなくなったからです。
 雑誌原稿の保存にも苦しんできました。かっては半分のページ数を占める広告を廃棄して製本することや、保存する雑誌を絞ることで省スペースを計ってきました。しかしそれでも増え続ける割には利用価値はありませんでした。製本した雑誌のもらい手探しにも行きづまって、1〜2年でそのまま廃棄!が定着しました。特定の著者だけを保存していた時期もありましたが、自分の別刷りだけが精一杯で長くは続きませんでした。
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 2000年の臨床ファイル3以降、デジタル画像のことばかりで臨床報告は書いていません。しかし私にとってのホームグランドはここしかないことを再認識し、ブログ上での展開を考えています。これなら保管場所に困ることもなく、すでに発表済みのケースの続編も、その後の考え方の変化にもフレキシブルに対応できます。さらに都合が悪くなれば削除することだってできますから、引退の日まで続けることができるでしょう。
1日平均420人の方にアクセス頂いています。8月中には20万の大台に乗ることは間違いありません。そのX-Dayに向けてマイ・カレンダー原稿と同様、お蔵入りデータをぼつぼつアップして行きます。



# by my-pixy | 2006-06-20 10:46
2006年 06月 12日
マンゴスチン
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南国のフルーツの中で一番好きなのがマンゴスチンです。タイに行く機会があればこれとトムヤムクンが一番の楽しみです。仲間のマンゴーの方は最近すっかりポピュラーになり、ハワイやフィリピン産だけでなく沖縄産、熊本産のものも高級フルーツに化けて出回るようになりました。ドライフルーツに加工されたものも入っていますが、生の感じが残っていてマンゴープリンなどよりよほどましです。
 しかし植物検疫の関係かマンゴスチンの方はさっぱり見かけません。すっかり諦めていたところ、先日、デパートの食品売り場に並んでいるではないですか。ほんの申し訳程度の数なので、ディスプレー用かと思いましたが値段が付いています。¥298は現地の20倍ぐらいかもしれませんが出会えた喜びにはかえられません。地元で籠やざるに盛り上げられたのとは違って、一個づつシールが貼られたり服を着せられたりお化粧は万全です。中身は小さいので現地では一度に10個ぐらいは食べていましたが、一回1個と決めてしまえば我慢もできます。何より継続的に輸入されることを願うばかりです。

# by my-pixy | 2006-06-12 13:47
2006年 06月 10日
悲しい出来事

f0103459_17421594.jpg これから話を読んでいただく前に、できれば「もぐらのつぶやき」2001年11月と05年5月、9月のバオバブの話に目を通して下さい。
5年間でしたが、冬は屋内、夏場は野外にだんだん大きくなる植木鉢をかかえて往復を繰り返していました。去年の5月には青々と葉をつけ、姿形もだんだんバオバブらしくなってきたのに気を良くして、一人で持てる限界までサイズアップしたばかりでした。
 秋口、次々にやって来る台風対策を読み違えたことが不運の始まりでした。どちらにしても冬場は葉を落とすのですが、暴力的な温度の昇降にすっかり体力を落としてしまったようです。祈るような気分で春を待ちましたがついに新しい芽吹きは見られませんでした。枝の先に現れるはずの新緑の代わりに、幹のあちこちに白い点々が現れた時には背筋が寒くなる思いがしました。しかしこれで諦めるわけにはいきません。もう一週!もう一週!と白い点が拡がっていくのをただ茫然と見ていました。
 間違いなく来るその日に恐れおののき、とてもカメラを向けることなどできませんが、本来ならひんやりしている木の幹をゆすった時、音もなく根元から折れてしまいました。ロープを作ったりするあの木の皮もかさかさでした。

苦しんでいる時に一人置き去りにして、マダガスカルに出かけてしまった呵責からは、当分抜け出せそうもありません。

# by my-pixy | 2006-06-10 15:03
2006年 06月 04日
本作りとブログ
f0103459_11511540.jpg f0103459_11513683.jpg この週末はブログ三昧ですごしましたが、やりながらこの20年ほどのいろいろな出来事を思い出していました。
 1970年頃から撮り始めた症例写真も集まってきて、それらから何か普遍性のある事柄が見つけられないだろうかと、京大型カードやパンチカードを使って症例検索の方法を模索していました。この時点では模索を繰り返すだけで何の成果も上がりませんでしたが、初めてのパソコンMac Plusによって一挙に現実になりました。フロッピーと小さな外付けHDに記録する白黒マシンでしたが、われわれを熱狂させるには十分なものがありました。ファイルメーカーの前身だったカード型データベース「MSファイル」がわれわれのやっていたことにぴったりで、コトコトいいながらわれわれの夢を運んでくれました。フルカラーの画像処理など考えもつきませんでしたが、数年後には「明るい暗室」が現実になり、さらにすざましいという以外にない発展が続きました。
 Mac Plusとほぼ同時期から始めたいくつかの本作りは、いつもデータベースソフトや画像処理との関連の中で進みました。98年にスタートしたHP製作はその延長線上にありましたから、組み立てやレイアウトなどすべてが書籍製作の発想で行われました。しかし今回のブログ移行作業では、この20年われわれが夢見たことのすべてが、それを遙かにに上回る次元で現実になっていることを痛感しました。
 タグはMSファイルの検索ソートそのものですし、スキンは現在多用しているケースプレの画像背景そっくりです。違いはそれらのすべてがお膳立てされていることです。用意されたレイアウトのすべてをブラウズし、気に入ったものを見つけてプレビューボタンを押せば、自分の原稿や画像を載せた仕上がり状態が瞬時に現れます。他のデザインも見てみたければ、着せ替え人形のように数十種類もたちどころで、2回目に適用をクリックすればすべて完了です。さらなるカストマイズには多少の知識が必要なようですが、元がかなり良くできていますから要望は少ないでしょう。内容と整理が問われそうです。

# by my-pixy | 2006-06-04 15:58
2006年 06月 04日
QP Card
 何度も書いていることですが、デジタル画像の色調補正ほど厄介なものはありません。歯肉の色と歯の色を合わせるだけのことなのですが、その片方だけでも容易ではないのです。歯肉の赤味だけのことでもその彩度、青み、黄色みなどさまざまで、いくら調整してもこれで万全ということにはなりません。今日はOKと思った色が翌日にはシアンが強すぎる、それを直したら今度はイエローが・・・といったことは何時ものことです。判断している自分自身がブレるのですから手のつけようがありません。
 RAWデータが使えるようになって調整は楽になりましたが、拠り所の無さは変わりません。調整域が拡がっただけにかえって厄介とも言えるかもしれません。こんなとき画面の中の白い点があれば、ホワイトバランスツールでかなり正解に近づけることができます。
 JPGでも同じことができないかと考えていましたが、撮影時にQP Cardというグレースケールのカードを写しこみ、Photoshopのトーンカーブやレベル補正についているスポイトを使うことで、似たような効果が上げられることが分かりました。カラー補正にグレースケールなんて!と思う方は無視して下さい。それでもというだまされやすい方は、プロショップか大型店で聞いてみてください。RAWデータに使った場合ほど正確ではありませんが、定価4200円で10枚くらい入っていますから割り勘でもよいでしょう。メーカーは新しいものを使えといっていますが。
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# by my-pixy | 2006-06-04 00:44
2006年 06月 01日
6月 ランギロア
 この年はクルージングを早めに切り上げ、飛行機でパペーテ経由ツアモツ諸島のランギロアに移動しました。世界1~2を争うという大きな環礁をもった島で、ダイビングでも有名です。細長い小島がきれぎれに連なっているだけですから、外海と内海を分けている陸地は広いところでも数百メートルでしょう。反対にリーフ内は80キロ×20キロもありますから横断するだけでも大変ですし、ラグーン内といってもボラボラなどとは大違いです。写真は小さなペンションの庭先でウミガメの甲羅に食事のメニューが書かれています。昼寝をしている子供を見るたびに、これが本当の「至福の時」だなーと思います。
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# by my-pixy | 2006-06-01 17:55
2006年 05月 30日
背面モニター
f0103459_11301986.jpg  私自身はそろそろ2年ほどRAW+JPGでの撮影を続けていますが、セミナーなどでお話ししていると、すべての方にRAWデータを推奨することは難しいと感じます。問題はカメラよりもパソコンやソフトの問題で、10年以上も毎日Photoshopを使ってきた人間が「簡単ですよ」というのはあまりに無責任だと思うからです。ただ多くの方がデジタル画像のバラツキに悩んでおられることも事実なので、そちらへの対策も考えないわけには行きません。
 20DからD200になって背面モニターの視認性は大幅に向上しましたが、そうなるとこれで画像の正否を判断できないかと思い始めます。そんな時あるカメラ雑誌で写真のような特集をやっていました。10機種の比較ではD200はダントツのトップでした。フルサイズの機種なども凌いでの結果ですから気分は悪くありませんが、だからといって私にはあまり役立つテストではありませんでした。
 いくら見やすくなったといっても、1.8インチで写っているかいないか、明るいか暗いかだけを見ていた時と基本的に大きな変化はないからです。画像の内容を判断するには背面モニターはあまりにも非力で、色の彩度もコントラストも低くすぎます。ヒストグラムを併用してもリングストロボの画像の判断にはあまり役に立ちません。カメラの調整も明るさ暗さの5段階だけで、コントラストなどはありませんから、過信すると判断ミスにもつながりかねません。ケーブルでつないで壁掛けテレビに映しだしてみればその差は歴然です。

f0103459_11303474.jpg 歯科用途の写真はいつも2枚以上をつき合わせての比較です。術前術後、口腔内と模型上、長期経過などなどほとんど1枚だけで見るとことはありません。そしてその両者の画像が揃っていることが必要なのです。歯肉の色も歯の色も片方ずつなら見られてもつき合わされてはたまりません。僅かな赤みやイエローも誰でもが気がつきます。シェードガイドなどというツールはこの難しさから生まれたものです。 一般の風景写真などでは1枚の画像をとことんまで突き詰めることはあっても、比較して揃えることは稀なはずです。われわれだけが常に現物合わせを繰り返しているのです。スライドの場合は大半があなた任せでしたからやってこれましたが、デジタルはいじれるだけにきりがありません。カメラの背面モニターから始まって、デスクトップ、ノートパソコン、プロジェクターと渡り歩く間に同じ画像も千変万化です。その変化に振り回され多大な時間をとられることからは何とか抜け出したいものです。
 05年9月20日付けのデジタルスクエアに、RAWデータ調整法のアイディアを書いたことがあります。 その後いつも実行しているわけではありませんが、ホワイトバランスツールを使う方法はきわめて有効だと考えています。多くの人が多用しているJPGでも同じようなことができないかと考えてきましたが、トーンカーブやレベル補正についているスポイトツールでも、似たような使い方ができそうなことに気がつきました。まだ日が浅いので確定的なことは書けませんが、近々公開できると思います。

# by my-pixy | 2006-05-30 17:37
2006年 05月 24日
ピンク色の転校生
 先週末1冊の本が送られてきました。どうやら歯科の出版物ではないらしいとは分かりましたが、中から出てきたのは1冊の小説でした。その著者を見てまたびっくり。変わった方が多い当院の患者さんの中でも一,二を争う不思議な方だったからです。羽田の自動車整備工場の社長さんですが、エピソードは数限りありません。まずはこのリンドバーグ風のゴーグルがお気に入りで、来院されるときにもいつもつけていらっしゃいます。冷房は大嫌いで夏は薄地の長いマント着てみえるので、初めての人は何事かと思われるでしょう。
 毎月、送られてくる東商(社名)瓦版もユニークです。最新号にも社長らしい表現があふれています。「レクサス低迷スタート」トヨタにパンチを出して始まります。
f0103459_12314538.jpg車の居酒屋、整備の東商のコマーシャルは
東商の¥18000完全整備をやって下さい。
 1.スチームでクルマを入浴
 2.肺を洗って
 3.胃袋を洗って新しい飯を食わせる
 4.お尻とボーコオ(デフミッション)の洗浄
 ・ 
 ・
と続いて最後は、ブレーキから診るのはヤブ医者です!、という調子です。

しかし今回の目玉は裏面です。「クルマ屋人生だけじゃ嫌だとバカな男が本を出しました。花の甲子園タマ拾い少年期。 読んでやって下さい。
穴守稲荷駅前の羽田書店に並んでいます。と書き添えてありますが、小学館スクエアの出版物です。その前にNHKのテレビドラマコンクールの佳作に選ばれたものだそうです。まだ1冊も縦書き原稿の書籍は作れない歯医者には「クルマ屋人生だけじゃ嫌だ!」はきついメッセージです。
でも、昼から見えたご家族の話では若い頃からの夢で、作品の応募もしばしばだったのだそうです。やっぱり!と納得。

# by my-pixy | 2006-05-24 11:57
2006年 05月 22日
デジタル写真セミナー
2回目のセミナーが終わりました。
・これからデジタル一眼レフを買おうとされている方
・スライドの資産をデジタルに引き継ごうという方
・院長や先輩が作られた細かな虎の巻に忠実に撮影をされているスタッフの方
・今後もスライドに固執し必要なときはスキャナーでデジタル化する技工士
・術前と術後や、新旧2機種の色調不統一に悩まれている方
・RAWデータの実態と使い勝手を見たいという方
・貯まったデータの整理とバックアップを心配されている方
年代も撮影歴もさまざまな方々がいらして、そのできるだけ多くに対応したいと考えたので大変でしたが良い勉強にもなりました。

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スライド時代から、歯肉の色と歯の色にこだわる歯科医、技工士の感覚は、それらの色調についてはかなり厳しいものがあると感じていました。今回の準備中に、そうした要求のベースが、常に2つのものを着き合わせて比較する日常からきていることに気づきました。シェード・テイキングなどがその典型ですが、患者さんの要望も隣在歯との比較が中心ですから、歯科医、技工士が対処しなければならないのは当然です。
 印刷や広告なども色には厳しいでしょうが、専門職もいるでしょうし色数の多さに救われることも多いはずです。シェードガイドに見るような細かな色のステップを、異なる素材で再現するのは大変なことですが、同じような要求を日常のデジタル画像に求めても無理なような気がします。
 私はこの数年間2台のディスプレーを並べて使っていますが、どの世代でも2台の調整がうまくマッチしたことはありません。デスクトップからノートへ、そしてプロジェクターへというステップでも色調が目まぐるしく変わるのは誰もが経験するところです。ディスプレーのカラー調整器機も何度か試しましたが満足できる結果は得られていません。スライドのように固定されたものがなく、すべてかが容易に動いてしまうデジタル画像は、その反面、任意の調整には広範な知識と大きな努力と経験を要求されるのです。

 久しぶりにスクリーンに近い場所に座ってプロジェクターの画像を見ていると、その画像の荒さにはげんなりします。デスクトップで画像を作っているときには100%以下で見ているのに、映写時には同じ画像を数百パーセントか1000%近くにも拡大されているわけですから当たり前のことですが、スクリーンわきの演者席は針のむしろです。ついついレザーポインターを忘れて、ノートパソコンの画面に逃げ込みたい気分になってしまいます。プレゼンには丈夫な心臓と厚い顔の皮が必要です。

# by my-pixy | 2006-05-22 17:30
2006年 05月 12日
ハイブリッド・セラミックス
f0103459_11171848.jpg 先日以下のようなメールを頂きました。興味深い内容ですし送られた方にご迷惑はかからないと思われるので、ほぼ原文のまま紹介させて頂きます。
この度HPを拝見しまして、質問メールを送らせて頂きます。お時間がある時に、ご返答頂ければと思いますので、宜しくお願い致します。
<質問>
十数年前に治療した歯を、これまでのメタルインレーの詰め物から、ハイブリッドセラミックの物へ変えるインレー修復をしました。その理由は、「金属の詰め物(銀)が腐食し始めている。歯の色もくすんでいるので、中で虫歯が進行している可能性がある」とのことだったからです。全く痛みの無い歯ではあったのですが、予防処置の意味合いもあったので、治療をお願いしました。 しかし、治療した歯はどれも調子が悪いです。例えば噛むと痛む、水がしみる、フロスを通すと引っかかりバサバサになるなどです。少なくとも今回の修復で歯をだいぶ削られたので、今後どんな治療が考えられるでしょうか?
 修復がかえって、歯の状態を悪くしてしまったと後悔している毎日です。

 10年ほど前、あるメーカーが自社の製品にこの呼び名を使い始めた時から、誤解を招くから使うべきでないといい続けてきました。しかし、その誤解こそがメーカーの狙いで、製品は売り上げを伸ばし、ハイブリド・・・という用語は他社メーカーや歯科医も広がってしまいました。しかし製品自体はフィラーの混入量を増やしたコンポジット・レジンに過ぎないのです。生まれも育ちもレジンに過ぎないのに、如何にも新しいセラミックスかのように見せかけるネーミングは詐欺商法に近いものがあります。アヒルにしかなれなかった小ガモが白鳥だと言い張るのにも似ています。

 たしかにこの10年ほどの間に硬質レジン(これが本来の名前です)もかなり進歩し、硬さだけでなく色調もかなり良くなりました。あまり頑固一徹なのも・・と、メタルフレームなしのクラウンを製作してみました。セラミックのクラウンであれば接着後に咬合調整するのですが、レジンだからと適合を確認しバイトをチェックしようとした時です。ピシ!と微かな音とともにご覧の通りです。
 摩耗を少なくと固くすれば割れるのは当然ですが、こんなに脆いとは!。オール・セラミックスと同じ気遣いが必要なら、こんな材料使いたくありません。技工の手間だってそんなには変わらないし、何といってもセラミックスには長い実績があります。 アヒルはアヒル、ろばはろば!出番を間違えると惨めです。

# by my-pixy | 2006-05-12 17:27
2006年 05月 07日
ゴールデン・ウイーク
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マダガスカルの反動というわけではないのですが、この連休は暦通りの休みをとり、2日と5日じっと真鶴にこもっていました。この家ができて20何年かが経つのですが、もしかしたらこれが初めてのことかも知れません。

 これだけじっとしているとさすがにいろいろのことが片づきます。雑草との対決も前半でめどがつきましたので、余勢を駆って初めての道路の清掃にまで繰り出しました。両側をにたまった落ち葉が腐葉土になっていますから、箒や熊手でというわけにはいきません。むかし砂利運びをした一輪車も繰り出して、ガードレールの外側に排出しましたが、登りは軽トラでもローギアに入れる急斜面が含まれるのでかなり腰にきました。

 連休後半は地震で出鼻をくじかれ、小田原駅で足止めされたり不穏な始まりでした。体力を温存し、少し前から始めていたグランドピアノ跡地を使っての家具の再配置を仕上げ、たまった建材からTシャツにいたる不要品の処分に奔走しました。来客にはウッドデッキのステイン塗装を頼むなど、ひとのふんどしも有効に活用しました。

  このくらい日数があると食事の支度は楽になります。作り置きをしたりさまざまな食材が仕込めるからです。週末だけですと残さないことが優先で1品か2品で済まさなくてはなりませんが、後半の始まりには5日分と思うとのびのび買い物ができました。
大勢の来客となるとどうしてもバーベキューだ、鍋だと言うことになってしまいますが、2~3人ならば多少は準備をする余裕も出てきます。

 連日、風は休みなく吹き続けましたが、好天に恵まれ快適な休日でした。最後にきれいになったデスク上に、直前に入手したMac book proと古いディスプレーをセットし、機能点検をして帰ってきました。久しぶりの東京駅のホームが懐かしいような感じがしました。

# by my-pixy | 2006-05-07 17:22
2006年 05月 01日
光学ファインダー
f0103459_11111780.jpg カメラのファインダーには人一倍こだわってきましたが、ついに来るべきものが来てしまいました。「デジカメに光学ファインダーは不要!」というご宣託です。現行のデジカメの外寸と2.5インチのデイスプレーという動かしがたい条件の中では、こうなることはやむを得ないと思っていましたが、大メーカーの主力機種がこれだけ一斉に変わってくると、これは変化ではなく革命です。

 一眼レフは大丈夫!と思っていても、こちらもファインダー軽視はとっくに始まっています。重く高いガラスのペンタプリズムは普及機には使われていません。とても買えっこないプロ用の機種をのぞいたら、まともなファインダーをもつデジタル一眼レフは数えるほどです。「いくらブツブツ言ったって、もうあんたの時代は終わったんだ。!」といわれているようです。

 やむなく虎の威を借りてプロカメラマンの望月宏信さんのブログから引用します。この方の写真の美しさにはいつも感心していましたが、先月辺りからブログに転向され、この分野でも素晴らしいサイトになりました。わが「土竜のトンネル」もそれにあやかりたいと真似をした次第ですが、本家は海外、旅行、写真の3部門で堂々のトップで、文字通り足下にもおよびません。

 以下、望月さんのコメントです。(一部省略)
いろんなカメラがありますが、選ぶポイントは「ダイナミックレンジ」の広さなのです。明るい所と暗い所が、両方どこまでちゃんと表現されるかが重要です。今や「画素数」なんて、たいして重要ではありません。簡単に言えば、原則として撮像素子(CCDやCMOS)が小さいほど、レンジが狭いと考えて良いでしょう。もっと簡単に判断するなら、強引な言い方ですが「カメラが小さいとダメ」。一眼レフのように大きなカメラほど写りがいいのです。

 気楽にパシャッと撮ってキレイに写るカメラが求められますね。ところが、気軽に撮りたい人は当然「小さいカメラ」を使いたがります。ここがどうしても矛盾する部分。プロならコンパクトデジカメだって写真集出せます。シロートさんほど余裕のある性能のカメラを使って欲しい。それのが楽です。

# by my-pixy | 2006-05-01 18:20
2006年 05月 01日
5月 タハ
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 タハはチャーターヨットのベースのあるライアテアと一対の島で、この写真の背景の水道をはさんで対岸にライアテア空港があります。丸い小さな島ですが、紅葉の葉のように中心部まできり込む入江があり、その方向がさまざまですから必ず風の影響を受けない場所があり泊地としては最高です。その入江の一つから出てきたところで、ゴーギャンの時代にタイムスリップしたような光景に出会いました。

# by my-pixy | 2006-05-01 17:22
2006年 04月 23日
電子手鏡の8年  その2
 再構築に当たっては、デンタルX線撮影をどうするかという問題と、テレビかパソコンかどちらのディスプレーを使うかという2つの問題があります。
 現在はセレクターで切り替えてエルモと一眼レフを使っているのですが、この点はさして問題がないだけに大画面のテレビが優勢になってきたのです。いくら便利だといっても画素数的にエルモには限界があるのですが、カメラから入力するとなるとX線フィルムの撮影という問題が壁になります。シャーカステン上の撮影にはカメラの固定が必要になるからです。エルモを買いたくても現物がない人には、アクリルのチューブで固定する方法などをお勧めしていましたが、自分で使う気にはなれませんでした。
 スライドデュープ用の装置などのように、レンズの先端部に取り付けることも考えましたが、撮影時も外した時も装置がじゃまなになります。そんなことなら小型デジカメ撮る方が簡単そうですが、入力が2系統になるのでは何にもなりません。1台のカメラで現在よりシンプルな方法でなければならないのです。ISOを上げることも考えましたが戻し忘れが心配です。
 明るいシャーカステンでも手持ちは無理と決めてかかっていましたが、むかしリングストロボを光源にしてデユープをしていたことを思い出しました。被写体を明るくすれば良いのだと気づいてから、問題はすらすらと解けてきました。乳白色の蛍光灯にフィルムを近づけるとワット数にもよりますがF11で1/500位が切れます。
 手持ちならばフィルムを立てて横からの撮影の方がすべてが楽です。レンズとフィルム間は約16センチですから、カメラをキャビネットの上面で固定することもできます。
仕上げはランプの明るさと、間に挟むアクリル板の厚みをコントロールすれば、口腔内撮影と同じ条件、マニュアルでF19、250で、すべての撮影がまかなえることになります。ただしミニリングのスイッチだけはOffにして下さい。

 ここまでくれば一安心、セレクターもエルモも個別のシャーカステンの不要になりました。撮影台は自動現像機のそばに一台あれば十分で、キャビネット上もすっきりしました。どちらのディスプレーを使うかはゆっくり考えます。長年お世話になったエルモの行く先も考えて上げたいと思います。
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# by my-pixy | 2006-04-23 17:52
2006年 04月 21日
電子手鏡の8年  その1
f0103459_1164061.jpgf0103459_1171113.jpg 1998年には、まだデジタル一眼レフは登場していませんでしたが、小型デジカメが100万画素に届き使い勝手も向上してきたので、何とか臨床に応用できないかと考えていました。 当時の主力は親指カメラと呼ばれた小型ビデオカメラでした。日本の歯科メーカーは自社では製作せず、日本製電子器機を組み合わせた米国製品を輸入して売りまくっていました。たった40万画素しかなのに動画を静止画に変換するために、カート一台の図体にもなる馬鹿馬鹿しい装置でした。それに水をかけてやろうというのが「電子手鏡」という発想でしたが、勝算はありました。
 むかし話は98年9月号の歯界展望の「電子手鏡のすすめ」に譲りますが、小型デジカメで始まった電子手鏡は、その後エルモ製資料提示装置DT 70に引き継がれました。自現機から出てきたデンタルX線フィルムを、すぐに拡大して見たいというニーズが高かったからです。DT 70はこの目的にはぴったりの装置で多くの人に愛用され、生産中止が決まった時には身内で在庫の争奪戦がおこるほどでした。フォトビデオカメラなどと呼ばれる同種の製品もありましたが、使い勝手は断然エルモでした。
 カメラで撮影したりパソコンを操作したりする手間が無く、濡れたフィルムでもシャーカステンの上に置けば、そのまま見られる魅力が、ニコンD1に始まるデジタル革命の中でも厳然と生き残ってきました。しかしこのことは患者さんへの画像提示を「ビデオ・テレビ・ライン」に依存させ、パソコンによるシステム展開を妨げる弊害も生みました。症例の記録というラインは完全デジタル化されながら、即時性を生かした患者さんへの提示がなおざりになったのは、大半の患者さんが古くからの方々で、あらためて全顎の提示を必要とすることが少なかったためで、その空間にエルモががっちり根を張ってしまったのです。 遅ればせながらシステム再構築を考え始めました。

# by my-pixy | 2006-04-21 17:50
2006年 04月 20日
K-Maxは不滅?
 白色LEDを使って口腔内写真がとれないか?と熱中していたのはついこの間のことのようですが、デジタル・スクエアにその記録はなく「蔵」の中に仕舞われていました。2002年のことですから、もう4年も経っているのですが思い入れが強かっただけに記憶は新鮮です。手作りの開発段階に、部品を探して秋葉原を歩き回った技工室の人達も同じ気持ちで、コスト高で継続生産はできなくなりましたが、愛用機は技工室の第一線で頑張っています。
 顕微鏡の部品として蛍光灯を使った照明装置はあってもこちらはコードレス。支柱に乗ったバッテリーともども片手で持ち歩ける手軽さは抜群です。かつてのユーザーの方でミニリングに切り替えられた方にはぜひお勧めします。
 LEDの素材は現在も大きく進歩はしていませんし、コストもほとんど下がっていません。大事にして上げて下さい。
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# by my-pixy | 2006-04-20 17:49
2006年 04月 16日
口腔内撮影用ミラー Ref 97
 長らく懸案になっていた口腔内撮影用ミラーですが、ようやく市販できる段取りが整ってきました。TTL接写に見切りをつけ、ミニリングによるマニュアル撮影を推進するには、どうしても欲しいアイテムだったのですが、国内を探し回っても見つからなかったミラー素材がドイツで見つかったからです。半ば諦めかけていたところでしたが、先方もドイツ国内で同種製品を製造していたことから、とんとん拍子で話が進み始めました。
 テスト、デザインのオーダーが進みロット契約までこぎ着けましたので、遠からず発売できると思います。基本形は昔、ペンタックスで作ってもらっていたものを踏襲しましたが、当時はできなかった曲線の加工もとりいれ、一歩、前進できたと思います。
 何と言っても自慢できるのはペンタックスの94%を上回る反射率97%で、現在国内で市販されているミラーを大きく上回ります。肉眼で見ただけでもはっきりするクリアな画像は、撮影時50%の光量ロスがほとんどゼロになる証です。
発売日、価格は未定ですが、現在市販されているもの以下で、5月下旬を目指しています。
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# by my-pixy | 2006-04-16 17:51
2006年 04月 10日
風の男
 
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先週の水曜日NHKの「そのとき歴史が動いた」で白洲次郎さんの戦後物語が放映されました。時間帯も10時に変わり夕食後かぶりつきで見ていました。どちらかといえば白洲正子さんの著作物などに接する機会の方が多く、次郎さんの方については断片的な話で聞くだけで、伝説的なベールに包まれたままでした。
 テレビ番組のこととは思うものの、戦後のこの時期のことは鮮明な記憶として残っているので、戦国時代の物語とは違うリアリティで迫ってくるものがありました。あまりにも美しすぎると思うことの連続なのですが、マッカーサー、吉田茂を筆頭に登場してくる面々にはそれなりの記憶はありますし、敗戦当時の生々しい出来事は世代の片隅で共有してきたので、絵空事とは思えなかったのです。
 翌日、ブックセンターに出かけてみるとおびただしい書籍がありましたが、そのうち3冊を選んで週末はどっぷり「風の男」の世界に浸かっていました。ちょうど私の父親の世代になると思うのですが、私自身は小学校高学年から社会人になる時期のことですから、うらやましさと共感が交錯した久々の読書でした。
 敗戦という未曾有の混乱期ゆえにヒーローやヒロインが活躍できる場があり、そこにピタリとタイミングを合わせて類い希なるスターが登場したということでしょう。正子さんとはまったく異なる分野で大輪の花を咲かせた、それぞれのDNAにはただ驚きのほかありません。

# by my-pixy | 2006-04-10 17:16