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2016年 02月 20日
ヒストリー
 大河ドラマの大半は完結した物語で主役も信長など3人に決まっていますから、視点を変えても話は出尽くしています。しかし「坂の上の雲」のような近代の物語となると親近感もあり引きずり込まれます。最近の「この国のかたち」なども興味深い番組で、本棚に並んでいた「司馬遼太郎の言葉」やドナルドキーンさんとの対談も引っ張り出したくなります。
 既往歴といわれている患者さんのヒストリーも、解き明かされれば治療方針決定にどれほど大きな助けになるか分かりません。しかし何かが分かればさらにその次が知りたくなるのは常で、考古学にのめり込む人の心境も分かります。時が長くなればそれにつれて知りたいことは数限りなく積み重なっています。

 私にとって1945年からの20年はあまりにも大きな時代でした。1955年に名ばかりの歯科大学は卒業したものの、鎖国はさらに10年続きましたから1964年までにほ日清、日露戦争が終わったのと同じような事でした。当時のことを追体験しようと「トンネルの上の雲」の解明にはまっている人がいます。同じ時期本人はTheory and practice of crown and bridge prosthodontics 翻訳に熱中していてとても手が回りませんでしたが、半世記を経ての再登場を楽しんでいます。
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ちょっと分かりにくい話ですが、著者Schweizerの記録をめぐって、当時の米国人の考え方、移入された日本の状態と受け取り方、その後の日米の変遷対比などです。

by my-pixy | 2016-02-20 09:36
2014年 06月 04日
咬耗
f0103459_844163.jpg前回、前後的すれ違いのおまけに正面観を提示したケースです。私は初めてですが1980年代からの記録が出てきました。患者さんは70才男性、現役で健康そうなかたです。前任者も頑張ってくれたようで、2本のコーノスと8番の鋳造鉤の片側パーシャル・デンチャーは、わが医院の伝統にのっとていて今も健在です。間もなく30才です。パノラマに写っている左下の5番はよく立ち直ったものです。今回の主訴は右下の5番が有髄歯のまま破折したことでした。歯冠部はなくかなり腫脹もしていましたが、反体側の回復ぶりを見せられては抜歯はできません。
 ただ30年前には見事に揃っていた上下顎前歯が草刈り機で刈り取ったように無くなってしまったことは深刻です。こちらを放置しては右の5番を救うことだってできません。基本ゼミの受講生の人達が持ち込む咬合崩壊症例を見せられて、咬合挙上はできるだけ避けろと言い続け、自費出版の臨床ファイルⅤでもそうしたテーマをクローズアップしてきた人間として、ほとほと困り切っていますがケースは待ってくれないのです。

by my-pixy | 2014-06-04 18:33
2014年 06月 02日
すれ違いは終わったが・・・・
f0103459_1250181.jpg2月から手がけてきた上下的すれ違い症例は、プラコンなどには時間がかかりましたが、短期入院も乗り越えて順調な経過を続け、本日をもって一段落しました。下顎は2つのワイヤークラスプの両側遊離端欠損義歯、上顎は智歯を含む5本の残存歯には内冠を装着しましたが、とりたててむずかしいことはしませんでした。その大らかな性格と、玄米粥,日本酒に救われて、初期のプロビジョナルから響かせていたタッピングサウンドはいよいよ澄み渡っています。両側顎関節にも上顎欠損顎堤にも無理な負荷がかけれてこなかったからでしょう。上顎大臼歯が失われることはこわくないので、術後経過についても心配はしていませんが、レジン外冠で充分機能しているので当分はこのまま行くつもりです。

 度重なる不適切な処置の繰り返しと、取り外し嫌いの患者さんの要望に痛めつけられたケースレポートをみるにつけ、ここまではパーシャル・デンチャー万々歳なのですが、良いことばかりは続きません。次の写真は1980年代からわれわれの歴代勤務医が対処してきた患者さんなのですが、右側5番の支台歯の破折でこれに支えられていた義歯の不調でお見えになりました。有髄歯だったので頑張ってきたようですが、それよりも前歯部のの咬耗には目を覆いたくなってしまいました。対症療法だけはとりましたがこれからどうすれば良いのか首をかしげるばかりです。
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by my-pixy | 2014-06-02 12:53
2014年 05月 08日
欠損歯列曼陀羅
f0103459_132443.jpg むかしからテーマ毎にパノラマを揃えて話しをすることは常套手段でしたが、いつの日か曼陀羅のような全体感を表現する画を作りたい思っていました。しかし曼陀羅がどういうものか分かっていないのでパノラマ側をどう並べてよいのかは分からないままでした。

 今回K.A.367をベースに分類を考えている時も、何か一歩近づけないかという思いは去りませんでした。

by my-pixy | 2014-05-08 11:32
2014年 05月 07日
1枚のパノラマから
 二日続きの好天という天気予報に誘われ、パソコン、コンパクトデジカメとおにぎり2個を担いで電車に乗りました。いまいちだったシャガの花のアップを撮り、「深川の雪」を見るため箱根登山とバスを乗り継いで小涌谷へ。どちらも先週の積み残しでしたが、シャガは一週間で元気がなく、肉筆の歌麿はやはり素晴らしかったが、ナリキン美術館は馴染めず、夕食の材料を仕入れて真鶴到着して一泊です。

f0103459_954750.jpg 一枚のパノラマX線写真から分かることは限られています。しかし他の資料や視診を合わせて見直すと、沢山の事実が記録されていることも事実です。このパノラマは65才の女性のものですが、それぞれの時期に受診した歯科医の薦めに従って処置をされたとのことでした。
 今回の主訴は右上5番クラウンのコアごと脱落ですが、このパノラマを見ていると、片側遊離端から始まって拡大した上顎の欠損の既往歴と、シングルデンチャーに向かうであろう予後が見え隠れしています。不安が一杯の上顎に対し、下顎は咬耗は気になりますが欠損に発展するような懸念はまったくありません。もともとそうした傾向をもっていたのかもしれませんが、上顎2つの咬合支持域喪失と、不適切な対応が咬合崩壊寸前の状態を招いていますが逆転打はないでしょう。一番恐ろしいのは連結された2本のインプラント支台の上顎義歯を装着することに追い込まれることです。
 最近、類似症例を数多く経験していますが、中でも「パーシャル・デンチャー新時代」P70に掲載したケースの下顎14歯とこのケースの下顎は、まるでパソコンでコピー&ペーストしたようです。こちらのケースは埋入した上顎3本のインプラントもすべてトラブルを起こしました。いずれご覧頂く機会もあるでしょうが、シングルデンチャー5分前で今なお苦しんでいます。

by my-pixy | 2014-05-07 10:47
2014年 05月 06日
KA367と、ヒストリーからの分類 2
f0103459_16183114.jpg K.A.367のテンプレートは身内の若手やもくあみ会には普及しましたが、最後の設計つなげるには分類や仕分けが必要という願望はなくならないようです。もともと多様な症例を一つの分類で片づけることには無理があるのですから仕方ないのですが、次を考えねばなりません。

 私自身はもっぱら、欠損の始まりから終末への推移が最大の興味ですが、「義歯の機能とかたち」で取りあげてきた補綴形態の方にも関心は薄れていません。
 
 何れにしても一つだけのチャートでは無理なので、連休前に作ったチャートを改良し二本立てにすることにしました。KA367はゼミの受講生からのプレゼントですが、臨床ファイルⅤでとりあがてきた犬歯、偏在、すれ違い、咬合崩壊などの術後経過も足場になっています。作業は思いのほか順調に進みました。
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 一段落と思いきや、先日の前後的すれ違いの出会いとそっくりで、二つの片側遊離端の象徴的なケースが来院されました 。上顎2犬歯欠損、前後的すれ違いに続いて「偶然と云うには・・」 第3弾です。嬉しいような、空恐ろしいような、おかしな気分です。しかし、そうした漁具を取りそろえて狙っているので魚が入ったというだけのことのような気もします。

by my-pixy | 2014-05-06 16:15
2014年 03月 18日
前後的すれちがいへの一矢(2.19初診.処置4回目)
f0103459_1841287.jpg パノラマX線を始めて見た時、5本の大臼歯をどうやって抜歯するかということだけを考えていました。いくら後が大変でも65才まで嵌合位なく補綴もせずにきた人にシングルデンチャー以外の選択肢はないと何の迷いもありませんでした。

それが週1回、延べ4回の処置で大逆転になるとは、当事者2人も、紹介してくれた技工士さんたちも考えもしなかったでしょう。しかし、もしかしたら?の奇跡は現実になりました。私にとっては生涯初めての対すれちがい戦の一勝ですからうれしくないはずはありません。キーワードはもくあみ会の「三脚思考」でお話しした「スロープ、てこ、くせ」バックミュージックは急速タッピング音です。このケースでは玄米のお粥しか食べていないという日常生活に注目し、僅かに滑走する下顎小臼歯の咬耗面は最少しか接触させず、骨隆起もある下顎遊離端義歯は動揺がでないよう義歯床の適合に気をつけました。

 f0103459_12515452.jpg予定していた今日の最大の仕事はプロビジョナルの交換でした。3時間の処置時間を目一杯にとって進めましたが、院内技工とはいえどんどん変化するチェアサイドのイメージについてはこれません。結局この第2次プロビジョナルは実用にならず、古いプロビジョナルを改造することになりました。上顎大臼歯は支台歯として活用していますが失活したくないのでアンダーカットだらけで無様です。どこで見切るか悩みの種です。
技工室の悩みはもっと深刻です。イカといえば切り身しか見たことがない山国育ちに、こちらの思いを口頭で伝えることは不可能です。半分ぐらいの指示でまかせるといろいろなイカがでてきます。チェアサイドから研磨の依頼で返ってくるイカの多様さに唖然とする日々です。少し追いついたと思ったら口蓋部の床は皆なくなって患者さんは大喜びですが、解体後のスルメが食用になる日は来るでしょうか。
メタボンやeMaxだけが歯科技工ではありません。CADCAMに渡すデータはすべて患者さんの口の中でそれを引き出せるかどうかが歯医者の仕事です。

 下顎は骨隆起もうまく処理できてほぼ安定していますが、カリエス処置やエンドの都合で支台歯の形が 目まぐるしく変わる上顎は、その都度安定度が変わり大喜びしていたタッピングサウンドも濁りがちです。目標は見えているのですがまだまだ時間はかかりそうです。

by my-pixy | 2014-03-18 18:41
2014年 02月 19日
偶然というにはでき過ぎ
f0103459_13434677.jpg偶然にしてはできすぎですが「クロス偏在とすれ違い」の校正原稿を印刷所に送り返した朝一人の新患が見えました。65才の男性ですが一目見てびっくり、書き上げた原稿の何処に加えてもおかしくないどころが、次の号では取りあげたいと思っていた「すれ違いからシングルデンチャーへ」の申し子のような方でした。
 あまり手をかけたくはないというご希望にもピッタリで、予想されるパーシャル・デンチャーを「段違い飛び板飛び込みのようなもの」とお話ししたらひどく受けました。父親も同じようだったとのことでしたからDNAも引き継がれているようです。歯肉縁下に隠れている右下犬歯をひっぱりだせば典型的な両側遊離端義歯とのコンビでこれぞシングルデンチャーです。下顎前歯は大分前方に出ていますがこれはいつものことです。次回にはプロビジョナルを装着しながら残根の抜歯を始めることにも同意して頂きましたから、ハイピッチで処置は進行するでしょう。これまでに数症例のバックオーダーはもっていますので良い目標ができました。

 4犬歯の特集をしたときにも上顎2犬歯欠損の方が見えて驚きましたがそれ以来のサプライズです。そしていま一番関心をもっているナチュラルヒストリーを学ぶにも最適の患者さんです。術者の思い入れでこれまでのヒストリーをこわさず行うべき処置は? という課題と向き合いながら処置を進めるつもりです。
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 ニセコ物語りも今夜から最終章です。スキーも靴も私設宅急便が運んでくれました。ちろんあの雪とあの山々を巡りたいとは思いますが、シンデレラならぬガラスの身体、ギブスのご厄介にならず帰ってくることが最優先です。目的達成にはカメラ片手に温泉巡りになることも辞さないつもりです。

by my-pixy | 2014-02-19 14:14
2014年 02月 18日
クロス偏在とすれ違い・臨床ファイル5
f0103459_15235695.jpg 臨床ファイル5号「クロス偏在とすれ違い」のゲラができ上がりました。明日には印刷所に戻し製作が始まります受け付け開始は来週初めで発送は週末の予定です。画像は症例が始まる前の見開き2ページで今回の内容紹介にもなっています。
 始まりは70年代のすれ違い咬合ですが、今回の中心はその後を受けての80年代の6症例です。ところどこる前後するものも出てきます。このところの天候になぞらえれば先行するもくあみ号が信号で止まっているためスタック状態でしたが、ようやく発車してくれてこちらの信号機も青になったというところです。ただ何しろ元気なもくあみ鉄道、また新造車両をそろえて追いかけてくるかも知れません。その時はおれがRejendだと・・・・

クロス偏在とすれ違い・臨床ファイル5

by my-pixy | 2014-02-18 15:26
2014年 02月 10日
臨床ファイル 第5号
f0103459_9505691.jpg予定よりは遅れましたが臨床ファイル5.Vol.5が脱稿しました。本日グノーシスに原稿を送りやれやれですが、タイトルを巡っては普段と立場が変わり「長すぎる」とNGが入りました。前回予告からは2回目の変更で、とうとう余分な文字は「と」一文字となりました。症例は6つだけですが前文、後文を配して24頁は変わりません。週末の新潟もくあみ会には間に合いませんが、3月の本会までには印刷も終わり昨年4月の第一号から1年以内で5冊目が誕生することになりました。配送開始は月末頃かと思います。

 内容は見てのお楽しみですが、1970年代のすれちがい症例回顧に始まり、その後の偏在6症例を片側遊離端⇨クロス遊離端⇨種々の偏在という視点で呈示し、犬歯の存否も含めて考察しようという欲張ったものです。やや否定的ですがインプラントを使用したものも3症例含まれています。4つの遊離端、4本の犬歯による鎮魂歌といっても良いかもしれません。
 ここには70年代のようなすれ違い症例は出てきませんが、消極的ながらもそれらの対応によって最悪の事態は回避できてきたと思われます。前後に位置づくクロス偏在、犬歯欠損などを意識し、シングルデンチャーという対応も含めれば「すれ違い咬合」は難攻不落の城ではなくなったと思われます。


クロス偏在とすれ違い・臨床ファイル5

by my-pixy | 2014-02-10 17:36