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2012年 01月 11日
カメラの命はファインダー4
 お手本は1930年代に生まれたライカでしたから、レンズ交換時の内蔵ファインダー視野の切り替えなど、ライカの欠点もそのまま踏襲していました。レンズ交換ができることは魅力でしたが、内蔵ファインダー視野は標準レンズのものですから、ファインダーもそのレンズ用のものに変えなければなりません。まだズームレンズもほとんど無かったからよかったのですが、それでもカメラ上部に取り付ける個別、可変性のファインダーなどはうっとうしいものでした。もとよりドイツ製カメラは今でもウインドウの華で、交換レンズの値段で日本製カメラは何台も買えました。さりとてニコン、キャノンに乗り換える気にもなりませんでした。

カメラの命はファインダー4_f0103459_1224534.jpg そうこうしているうちにカメラメーカーでもない旭光学から35ミリの一眼レフが出てきました。面白いなとは思いましたがファインダーは2眼レフと同じで左右は逆になりますから動態撮影は無理。申しわけのような透視ファインダーはついていてもピントなどが見えるわけではなく、何よりこれで製品?といった仕上がりでした。
 しかし5年後、ペンタプリズムを内蔵し、名前もペンタックスAPと改名して再登場してからは、一気に庶民のアイドル的存在になりました。左右逆だったファインダーは正像に変わり、シャッタを切ると真っ暗になる問題もミラーのクイックリターンで克服されました。
 ライカ型に血道を上げていたニコンもキャノンも置き去りにする快挙で、価格は1/3位だったと思います。この後、東京オリンピックの年に出たSPからは、僅か3万円でマルチ目的に使える中核カメラになりました。

 急ターンして後を追うことになったニコンも、出遅れたキャノンも一眼レフグループに加わり、元祖ライカ、コンタックスは骨董カメラになりました。敗戦から僅か20年目の大逆転劇です。ワイドでも望遠でもズームでもレンズを変えれば、それぞれの画像がくっきりファインダーに見えるという当たり前のことが実現してまもなく50年になります。
 もしフィルム健在でデジカメ時代にならなければ、HOYAやリコーに買われたりせず独自の道を歩んでいたでしょうが、コダックもフジもコニカもミノルタも大ツナミの前には無力でした。

by my-pixy | 2012-01-11 08:35


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