2013年 11月 24日
デジタル化にともない、ユーザーとして変えて欲しくないのに、製造する側の都合で変えられてしまったのはフィルムに代わる撮像素子のサイズです。デジタルカメラが誕生した初期、小型のものは何とか作れても一眼レフ用のものはなかなか実用になりませんでした。キャノンもニコンも35㎜一眼レフは作っていましたが大きさも価格も巨大で、とてもフィルムから切り換えようという気にはなれませんでした。 難産だったデジタル一眼レフ 1990年代、デジタル画像の利便性は多くの人に認められながら、プロやハイアマチュアに認められるようなデジタル一眼レフはなかなか登場しませんでした。巨大企業の生存を懸けての血みどろな争いの中で最初のデジタル一眼レフが登場したのは1999年のことで、このホームページ「D1日記」の誕生のきっかけでもありました。石橋を叩いて渡る会社と思われてきたニコンのこの決断は衝撃的なものでしたが、この時ニコンは中核であった35㎜フィルムからの訣別を覚悟したのです。ニコンD1は外見こそはこれまでの35㎜一眼レフでしたが、中身はAPSCという新しいサイズのより小型な一眼レフへの転身だったのです。35ミリというフォーマットではこれまで通りの一眼レフは作れないという割り切りからD1は誕生したのですが、そのことについてはニコンのみならず業界全体も半ば頬被りをして10年あまりを過ごすことになります。 大型の受光素子製造が可能になり、デジタル画像の鍵を握るといわれていたローパスフィルターが不用というような革新が起こってきて、デジタル一眼レフもどうやら35ミリへの回帰が可能になりました。各メーカー口を揃えて35㎜フルサイズの優位性を謳うようになりました。 純正マクロレンズ 一つのカメラにはそれに対応する標準レンズがあります。フィルムという枠が外れても撮像素子の制約は変わりないのです。一般撮影ではズームレンズが多用される中でそうした概念は薄くなりつつありますが、口腔内撮影では無視できない問題です。35㎜フィルム時代、ペンタックスでもニコンでも標準レンズは50㎜、マクロレンズは105ミリでした。(メディカルニッコールは120㎜)50ミリとか60ミリというマクロレンズもありましたが、倍率が等倍にならなかったり、ワーキングディスタンスが不足したりして使えませんでした。短焦点の60ミリなどでは手前のものが大きく写るというもう一つの欠点もあるので対象外でした。 小さめの受光素子を採用した犯人のカメラメーカーは、それに伴って生じる画角(写真が撮れる範囲)の狭小化の対策はとらないため、われわれはそれなりのマクロレンズを求めてタムロンやシグマを使うしかありませんでしたキャノンは今でも60ミリと100㎜しかマクロレンズはありません。 ミラーレスのカメラを目のないカメラなどと言って相手にしなかったことにはもう一つ理由があります。デジタル1眼レフになって35ミリはそのままのFXと一回り小さいDXに2分化されることになりましたが、カメラのマウントはそのままですからこれまでのレンズも使えました。交換レンズのシステムも修正は必要でしたがタムロンなどの3rd partyが隙間を埋めていきました。 次々に登場するミラーレス機の交換レンズにどんなものが用意されているか調べたことがありませんが、撮像素子のサイズは好き勝手、マウントも焦点距離も無法地帯ですから、FXとDXの2分化どころの話しではありません。3rd partyでも相手にするはずがありませんから、最適マクロレンズどころではないでしょう。 誰が撮影するか ここで一つ気になってきたことはカメラを小型軽量化したいという要望は、撮影を任された女性スタッフからのものだろうということです。口角鉤やミラーを片手に片手撮影などという芸当は私にはできません。シャッターを切るのは自分自身ですが、少なくとも一人、ミラー撮影では二人が必要です。この立場の違いは大きな誤解のもとになりそうですが、私は私が見たものを記録したいのですから、口腔内撮影を他人に任せる気はまったくありません。
by my-pixy
| 2013-11-24 12:03
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