2018年 10月 25日
歯のない幸せ
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f0103459_1011096.jpg今週末は2018年最後の基本ゼミです。その中で中心課題になる一症例です。
60年の自分の臨床を振り返りながらいつも忘れられなかった患者さんです。小児歯科の先生からご紹介を頂いた方でした。不得意ながらお使いの総義歯をベースに新しい総義歯を製作しました。なんとかご満足いただき次の来院は数年後になりました。適合もほぼ良好で新調の必要性も認められなかったので、シリコンのリベース材でリライニングしました。充分ご満足頂き、その後は不定期のチェックだけになりました。

 私が歯科医として歩み出した頃、名医と名が高かった先生はその殆どが総義歯の名人でした。直接の恩師だった河辺清治先生だけでなく、私の父親も若くして総義歯患者でしたし、留学したアメリカでナソロジーが台頭したのも、総義歯のフルバランス製作が初期の目的でした。世界中の各大学でも補綴の中心は総義歯でしたが、歴史の長さの割には実りは無かったようです。

 そんな中で私はCrーBrとの葛藤に数十年を過ごしてきましたが、ペリオ、咬耗に引き回され、最終的には「二次固定」に逃げ込むことになりましたが、あのAAPはインプラント学会に変わり、最近の大学の臨床などを垣間見ると、パーシャル・デンチャーさえままならない混迷は極限に達しているようです。
しかし技工を放棄して補綴はあり得ないのです。10基の原発の廃棄も決まったようで、遅すぎましたが、福島の悲劇は無為には終わらなかったようです。

by my-pixy | 2018-10-25 08:24


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