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2016年 10月 14日
過蓋咬合とDeep over bite
過蓋咬合とDeep over bite_f0103459_15292714.jpg 今週の火曜会でタイトルの定義を巡ってちょっとした混乱があった。若手の過蓋咬合の症例報告をめぐってのことで、二次会でも話題になったらしく、予定が決まっていなかった12月の特別企画でとりあげようということになったようだ。
 私にも症例提供が要請されたが、ボケも手伝ってあまりきちんとした返事ができなかった。始めは何故かなと考えたが、私の思考回路ではDeep over biteは、全顎補綴に取り組む以前に自分の守備範囲から除外して考えてきたことを思い出した。きっかけはここに提示した症例で、2つの遊離端欠損がクロス偏在状態で存在するケースに、安易に咬合挙上を行ったことの無残な結果だった。これだけではないが同種の症例を組み立てて、山形県歯科医師会初の国際学会の「咬合を考える」というシンポジュームでの「咬合高径ー変更の得失」という冒頭のプレゼンを行った。国内演者だけでなくC.McNeillらも同席した会での挑発的な発言は今思うとやりすぎだったが、多くの聴衆のエールをバックに舞い上がっていた。
 2冊の「臨床ファイル」をまとめ、Eichner譲りの臼歯部咬合支持をベースに「すれ違い咬合」に向き合っていた1988年のことなので、さらに20年前のSchweizerの興奮は遠いものになっていた。最近になって多くの咬合崩壊症例を目にしても、私の臨床区分ではシングルデンチャーなどに向かう後期高齢者の後始末としか考えられないので無難な80台、90台を願うことしかない。   

# by my-pixy | 2016-10-14 15:30
2016年 10月 11日
偏在との挌闘7年目
偏在との挌闘7年目_f0103459_12335854.jpg 偏在との挌闘7年目_f0103459_9284667.jpg
もうこれ以上はできない!! 無理だ!!ムリダ!! と言いながら、既に大規模改造3回目になる。義歯は自分で削ってしまう、CADで次の改造注文を描いてくるなど、若い頃ならとっくにドンパチになっていたはずなのだが、不思議に的を得た反応も多く、脇で見ているスタッフも不思議がるような、きれぎれの7年間が過ぎようとしている。 今回は、嫌われることを承知の上で、2人のテクニシャンに時間制限なしでも良いからといって無理無理頼み込んだ。コバルトクロームの外冠・フレームなどが絡み合った複雑な設計である。

 眠れぬ夜も過ごしたが、何十年かモヤモヤと暖めてきた「義歯の剛性向上のトライアル」は期待通りの結果が得られた。7月14日以来の長い製作期間だったが、7年を費やして患者さんの要望にも応えられた。無理難題に協力してくれた二人の技工士さんには感謝!感謝!だが、コバルトクロームのワンピース義歯第一号機は、D500とともに進水式を終えた。数は多くないかもしれないが、われわれの想像しなかった義歯の変形や歪みが、患者さんの不快感につながっていたことが分かり、金合金だけでなくコバルトクロームやチタン床などを有効活用することで、患者さんの悩みを減らせそうなことに確信を持ち始めた。

# by my-pixy | 2016-10-11 12:55
2016年 10月 10日
トクヤマ・リベースⅢ
トクヤマ・リベースⅢ_f0103459_814079.jpgトクヤマ・リベースⅢ_f0103459_186683.jpg
 トクヤマという会社は不思議な会社だ。母体が大きいせいか小回りはきかず製品の改良などはさっぱりだ。最近開発された即重のキュアグレースも変形が小さく注目していたが、本格使用し始めると硬化が不確実で、再三連絡しても改善されない。
一方でシリコン印象材インプリンスの接着剤などは、20年も経っても他社の追随を許さない抜群の性能で、われわれの「臨床基本ゼミ」の基盤にもなっている。リライニング用のトクソーリベースも同種他社製品に水をあけたロングセラーだったが、流石に古ぼけてはきていた。そんな時、頼みもしないのにトクヤマ・リベースⅢを持ってきてくれた。即重キュアグレースの改良がままならない中だったので、そっぽを向いていたが使ってみると驚いた。
前製品に較べると革新的な改良である。キュアグレースの失敗があるので引いて構えていたが、使うほどに魅力にとりつかれている。注目すべきは、1.フローのコントロールのし易さ、2.確実な硬化、3.透明度の高さ、4.気泡混入の少ないことなどで、即重と同じような不満は全くない。ともに即重レジンなのに素材が根本的に違うからだろう。当たれば◎◎外れればさっぱりのトクソーらしい製品だが、このリベース用レジンは◎◎◎で今はこれまでのリライニングに置き換えたりして愛用している。

 一方、下の2枚の画像は1988年から30年ほど悪戦苦闘してきたケースだ。上顎シングルデンチャーを回避しようとして使った3本のインプラントは1本がロスト、2本目はフィクスチャ破折、3本目はスクリュー破折して骨の中で眠っている。インプラント以後に装着した金属床義歯は、軽量化のためチタン床に交替していたが、今回、ノンクラスプ義歯になって蘇った。2本の中切歯はこれまでも顎位を支える砦だったが、トクヤマ・リベースⅢで維持、サポートとも向上し30年間でベストな状態になった。義歯の重量は13.1gで、50%の減量できたこともプラスして、2007年の「新時代」宣言はようやく日の目を見た。

# by my-pixy | 2016-10-10 08:15
2016年 10月 09日
口腔内写真設定調査
口腔内写真設定調査_f0103459_7175660.jpg口腔内写真設定調査_f0103459_9254018.jpg私の現在の口腔内写真の設定を送っておいたところ、なんかよう会18名のデータを整理して送って頂きました。予想はしていましたが想像できない部分も多く、とくに18名中ニコンは3人という点は驚きを通り越していました。
Kissなどという名に釣られた5名や、もはや存在意義もない11名のTAMRON、MR14EXなど、お下がりが多数と思われました。このことが口腔内写真への無関心の表れでなければよいのですが、一人づつチェックもできないので、こちらの推奨リストを作りました。

贅沢さえいわなければ、これでパソコンソフトまでふくめ、すべてわれわれと同条件で口腔内写真は撮影できるはずです。来年からの基本ゼミやもくあみ会はさぞかしきれいなプレゼンが期待できるでしょう。われわれがデジタル化に費やした10年余の年月と、膨大な費用がたった15万で全部揃うなんて夢のようなことです。自己流にこだわる中年組も白い目で見られぬよう自己流の設定は見直してほしいものです。









口腔内写真設定調査_f0103459_8485995.jpg 
仙人のブログからの借用です。 3連休こもりきりでしたが、この写真をデスクトップに拡げておくといろいろなことを話しかけてくれました。彼のブログには、ひまわりや彼岸花に混じって雉、蜘蛛や蝉の脱け殻など思いがけない来訪者が沢山やってきて羨ましい限りです。雲、風、雨など写真には難しいテーマも独特の感性で画になっています。陶芸作品が本命でしょうが、ぜひこちらも一覧でみられるようにお願いします。

# by my-pixy | 2016-10-09 10:21
2016年 10月 08日
デジタル化に伴う規格の変更
デジタル化に伴う規格の変更_f0103459_1703421.jpg 上段はスライドかデジカメかで揺れ動く90年代の技工室で、まとめ買いをしていたスライドフィルムなども映っている。それほど高価ではなかったので、カメラ雑誌などと首っ引きで話題に上るデジカメを片端から試していたが、心臓部ができないのだから何れも似たり寄ったりで、本格使用には到らず周辺機器の代用に落ち着くばかりだった。
 35ミリ一眼レフ代替機は写真界すべてを挙げての待望だったが、本命のニコンからも、キャノンからも姿を現わさなかった。その日はこれらの画像の直後、1999年ソニーから供給された撮像素子を使ったニコンD1として登場した。65万円という定価は半端ではなかったが躊躇することなく購入し、その後の一歩一歩は開設したばかりのホームページの最大のネタにもなっていった。このカメラの登場は35ミリカメラシステムデジタル化の皮切りであると同時に、誰もが手を染めなかった分野への果敢な挑戦で、フィルム界の巨人コダック、富士フイルムまでを破局に追い込むことになる。

 反面、ニコン自体も35ミリというスタンダードを捨ててAPSCという新しいスタンダードへの乗り換えを踏み切った。「誰がネコに鈴をつけるか」という逡巡の中で日々は終わったのだ。はっきりした明言は避けながらも、鈴の音は業界全体に鳴り響き革命は始まった。

 それから15年も経つのに、スタンダード変更はフルサイズ、FX、DXなどと曖昧な呼び名で語られている。新規格のデジタル一眼レフに最適なマクロレンズが何ミリかというアナウンスもなく、製造にも手を染めないカメラメーカーの曖昧さを縫って、3rdパーティのタムロンやシグマがその空隙を埋めているのもデジタル化クライシスの名残りだ。
 この混乱で退職、離職したひと数知れず、会社の体質も大きく変わった。ある意味では平成の関ヶ原で、誰かがプロデュースしてくれたら充分大河ドラマになるはずだ。

# by my-pixy | 2016-10-08 16:05