タグ:義歯の機能とかたち ( 161 ) タグの人気記事

2016年 06月 24日
書籍の機能と形
f0103459_936335.jpg 今頃になってご紹介しても遅いのですが、臨床ファイルシリーズを合本するとき、あとの利用法を考えて綴じ込まない本を一つだけ作ってみました。
必要なものを何度も見返すのに便利なように、また不要なものまで持ち歩かないでもよいようにと考えたバインダー方式だったのですが、合本にすることで全体としては150ページになってしまいました。
これでは本末転倒なので再分割を考慮し、分けたものはクリアファイルなどで管理するつもりでしたが、それ程の代物ではない絵本にすぎなかったということでしょう。 結局しまいこんだまま活用はしませんでしたが、アイディアとしては悪くなかったと思っています。
 昔、Goldmanの翻訳本が重すぎて2分割して製本した経験からの発想でしたが、紙とデジタル化の関係はそんな簡単なことではなさそうです。

by my-pixy | 2016-06-24 14:37
2016年 06月 22日
咬合崩壊と二次固定
f0103459_10142740.jpg 今年2月のもくあみ会のテーマは、2011.3.11直後の少人数の基本ゼミからスタートしたものです。手のつけようもない咬合崩壊症例からの脱却のために・・・と9人の受講生と考える中からKA367は生まれました。先日のブログに再録したとおりの状況の中です。

 初期段階から思いのほか多くの方に支持されて、KA367は実用化への道を歩みましたが、若い受講生サイドとの間にあるギャップは気になっていました。頭では分かっているいるものの実体験がともなわないことによるものと思われました。それを埋めるべく企画した今年のもくあみ会でしたが、思いは実りませんでした。

企画の意図を確認し当日の演者とも話し合って、同じ発表をもう一度見直すことで、咬合崩壊とパーシャル・デンチャーの関係を再確認することに焦点を絞ろうと、新たな思いで事後抄録を編集しました。新たに書き原稿にして頂くことで、口頭のプレゼンより問題点はしぼられ、同じ発表も新たな発展が見られました。

 私も片足を踏み込んだばっかりにだんだん深みにはまり、たった4ページですがこれまでにない気合いの入った原稿をまとめました。臨床歯科を語る会に間に合わせるべく準備は完了しましたのでお楽しみに。
表紙の写真は昔のお気に入りの一枚ですがチロルのキッツビエールです。

by my-pixy | 2016-06-22 08:37
2016年 05月 29日
昔は創意工夫が
f0103459_1655533.jpgf0103459_17501842.jpg 横書きはおろかひらがなも使われていないし漢字も難しいが、ちょうど100年前にもパーシャル・デンチャーは使われていた。しかし当時はCr-Bの中に足を踏み込んでいたと思われ、支台装置の多様性もあってか、赤の書き込みがしてある遊離端義歯などもこの本の中に含まれている。
 間接法の発展からブリッジとパーシャル・デンチャーの境界に迷い、講演会のテーマなどで無歯顎の補綴に対して「有歯顎の補綴」というタイトルを再々使っていたが、先人も同じ思いだったことを垣間見る思いがした。それにしてもこの出版後、毎年版を重ね手元にある物は11版になっている。

第6版の序文としては「大震災に際会して第五版の残冊及図版を焼失し且書店に蔵せる物も亦大部分烏
有に帰し各方面より本書を要するの声頻りにいたるを以て訂正の暇なく第六版を出すこととなれり読者乞う之を諒とせよ   大正十二年十二月」と書かれている。関東大震災のことだろうが苦痛のほどが思いやられる。出版は合資会社歯科学報社で、売捌所には森田歯科商店の名もある。

 後半には第四章として100ページ余を費やして可轍架工義歯について述べられている。定義に始まり、価値及び適応症、分類などの後さまざまなアタッチメントについて細かに解説されている。その中にはピーソー氏のスプリットピン、アンド、チューブ、アタッチメントも10ページを費やして詳細に記載されている。私が卒直後短い勤務医時代(1955)に実習として経験したものである。そこの院長の得意技の一つだったが、30年余を経て一人の開業医に継承されていたことは素晴らしいことである。二重金冠などとともに臨床に定着していて、私も1970年には臨床応用している。
 また咬耗症による低位咬合の処置なども、全顎、臼歯部に分けて述べられていて、まさ目からウロコの感を強くした。先人の偉大さを知るとともにスマホに明け暮れる現代に大きな警鐘となった。
 この矢崎先生からの伝承は、河邊先生を介してわれわれ同期生にも伝わっていたのだろうが、直接的なコンタクトはなく、大学では反面教師のお陰で伝承されず分断されていた。戦後の大学昇進問題などと絡んでいたのかもしれない。

当時の本はその解説にイラストによるところが多い。この本もそれにより広く読まれたことと思うが、少数ながら口腔内写真もありその努力のほどが偲ばれた。

by my-pixy | 2016-05-29 15:55
2016年 05月 26日
赤本
f0103459_10315117.jpg 当時の編集者との間ではいつしか赤本というニックネームになっていましたが、1981年出版の別冊にはさまざまな思いがこめられていました。すでにすれ違い咬合などの雑誌原稿は書いて数年が経ち、自分の路線には確信をもっていましたがその足場をさらに確かめたいと考えていました。ちょうど藍稔先生が医科歯科大学部分床義歯の講座主任となられた時でしたので、ご相談しながら大学を中心に著者を選定しました。

 当時はそうそうたるメンバー揃いで、明日の補綴臨床は必ずここから生まれると確信をもっていました。しかし今、目次を見直すと30名ほどの著者の中には亡くなられた方も少なからず、30年余の年月の重さを感じざるを得ません。さらにそれぞれの後継の方に引き継がれた様子も、うかがい知ることはできませんでした。

by my-pixy | 2016-05-26 08:44
2016年 05月 17日
模範的患者さんの33年
f0103459_8165849.jpg 私たちのリコールシステムが不備だった1980年代はともかく90年代に入ってからは毎年2回の定期点検に確実に来院される患者さんです。
初診時には多数の歯周病罹患歯を抜歯して上下にテレスコープ支台のパーシャル・デンチャーを装着しました。この後5人の歯科医が担当しましたので記録も完備はしていませんが、近年はもっぱら衛生士の担当でわれわれの出番はありません。
 パノラマと若干の資料はまもなく刊行される2016もくあみ会事後抄録に掲載予定です。画像はその一部ですが現在悩んでいるのは、ポケットも10ミリに達している上顎7番の扱いです。動揺はなく、対顎に対しても問題は起こしていませんが、上顎義歯にとっては無用の長物です。ただ抜歯窩は大きくなりそうですし現在の平穏を壊したくもありません。年齢は私とほぼ同じの80代です。

by my-pixy | 2016-05-17 08:42
2016年 05月 10日
補強線は使わない!
f0103459_10525452.jpg 2015.11.25日のゴールドメッシュ入りの総義歯を見せられたときは南蛮渡来物を見せられたような気がしました。透明レジンとの組み合わせが私の発想にはなかったので、その姿形に魅せられたのです。暫く迷った末、知り合いの総義歯装着者二人にサンプルを見てもらいましたが。反応は良好でした。
 かねてより上顎総義歯には金属床よりレジン床と思っていましたので、使用する加熱レジンのことも考量し、この二人に使ってもらっています。決して良好な顎堤ではありませんが気に入って使って頂いているようです。

 多分、清掃時のルックスが愛用の決め手になっているのだろうと思います。圧印で整形するメッシュが補強効果を持っているとは思いませんが、すべてレジンに包埋されていますから実害もないはずです。メッシュに接着処理はされているようですし、最悪破折事故が起こっても断面に突出したメッシュを切り取れば、レジン破断面頼りで修理は可能なはずです。

補強線を使うのは旧義歯の修理に小さく入れるぐらいで、新規の場合はコネクターを使います。間違ってもゴールドメッシュやファイバー樹脂などを補強剤に使おうとは思いません。下のパーシャル・デンチャーはずいぶん古いケースで最近は拝見していませんが、問題は出ていませんでした。

by my-pixy | 2016-05-10 09:06
2016年 05月 08日
補強線? 破折誘導線 ?舌感阻害線?(続き)
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f0103459_8435668.jpg上顎義歯の破折以外に、一次固定されていた下顎3前歯のうちポストが短い左2がコアごと脱落していた。隣の1番の切端、唇面の咬耗も著しく、この義歯が装着された時は、パノラマX線写真の黄色のラインの前歯部支台歯間で剪断し、オープンバイトの臼歯部で圧縮するという使い方をされていたことが推測された。

 地方にお住まいで、その後の処置をされた歯科医も亡くなられて、お子さんの元に逆里帰りをされての来院だった。メインテナンスが打ち切られた時の悲哀は、連休中のわれわれの患者さんにも他人事ではなく、6ヶ月ごとの通常メインテナンスでは見かけない応急処置に追われていた。

 破折対策を考えようとしても技工的対処以前に、予知と術後対策を考えねばならない。アフタケアを含めて対応していける場合と、高齢化でそれが思うにまかせなくなったときとでは、全く様相を異にするので方向性さえ定まらない。

難問山積の高齢者の補綴処置だが、義歯を含む補綴処置では、義歯の安定を最優先する患者さんの思い一つで、習慣的咀嚼側も、義歯を含む嵌合位も容易に変化し、顎関節の顆頭形態までもそれに追随していくことを見せつけられると、われわれにできることの少なさを思い知らされるばかりだ。

それでも未知のことがあるから頑張れるし、楽しみは尽きない。 Never Give Up !

by my-pixy | 2016-05-08 19:28
2016年 05月 07日
補強線? 破折誘導線 ?舌感阻害線?
f0103459_947118.jpg パーシャルデンチャーの設計にCADが役立とというレポートは見たことがない。単冠用ののレジンのインゴットを削クラウンを保険導入して何が進歩するのだろう。歯科医師会も厚労省とやらも不思議な世界だ。

 こんなケースは稀ではないが昔から変わりなく見かけるもので、それがある限りCADの出番はないだろう。舌感を最も阻害する部分であっても、どうしても必要ならば補強線もやむを得ないかもしれない。しかしこのケースでは何も役立たずに長い間、患者さんを苦しめ最後は破折の誘因になったことは間違いない。前歯部顎堤を温存できたという人もいるかもしれないが、その主役は2本の前歯であって補強線ではない。義歯の設計以前の問題だが、そんな仕分けもせずCADを使おうなんていうことになればレジンの短冠より恐ろしいことになる。

不適合な補強線によって義歯の厚みは2倍以上になっている。 維持装置は良く適合していたが、それだけではどうにもならないことは、パーシャルデンチャーの面白さでもあり難しさだ。イタリアのスーパーカーの設計でも、日本の匠と呼ばれる職人さんも人の手が美しい製品を作り出し行くことに変わりはない。口腔内でこの義歯に触れてみれば何かに気づくはずだ。あれこれ考えていると問題の複雑さに引き込まれていく。

破折の直接の原因になったのは技工上の問題だが、それが反復したことには患者さんのヒストリーや咀嚼習慣の変遷に原因があるあると思われる。(続く)

by my-pixy | 2016-05-07 09:49
2016年 03月 29日
スクリーンセーバーはパンドラの箱?
f0103459_982961.jpg 昨日の義歯の背景に使ったホルダーをスクリーンセーバーにかけるとこんな形で次々に展開します。
通常の発表の時は経過を追って年代順に提示しますが、このホルダーにはお一人様多くても3〜4枚に絞っていますから、同じケースが何度も出てくることはありません。ホルダーを分けない限りどのケースがいつ出てくるかはパソコン任せですから意外性があります。シャッフルにするとさらに予想はできなくなります。「義歯の機能とかたち」は土竜のトンネルの最大のタグです。欠損形態の分類、すれ違い咬合など私が追いかけてきた臨床ファイルシリーズの最終章でもあるのです。最後の切り札としてして考えた「KA367」で機能的な要素を考察したあと、実際のかたちに入るには論理からイメージへのジャンプが必要です。この時の最大の拠り所はプロビジョナルレストレーションですが、その前にどんな姿を思い浮かべながらプロビジョナルを進化させれば良いか、イメージの有無が問われるところです。






by my-pixy | 2016-03-29 08:41
2016年 03月 19日
仮着セメントで術後対応
 f0103459_8521874.jpg くも膜下出血後のリハビリが続き観血的な処置は控えている。ホープレスに近い左側3456の補綴物も、定期検診時のセメントのコントロールだけで固定性ブリッジとして使われている。即重のテンポラリブリッジも今回はウオッシュやコーティングなどのメインテナンスをしてきれいになった。最も堅いテンポラリーセメントを使っているがリムーバーで撤去しながら3年半が過ぎた。
 
1980年以来の患者さんでドラマのような出来事が続いたが、現在は4ヶ月ごとの定期検診で安定している。あまり発表したことないケースだが、来週末からの基本ゼミ用に整理を始めたところである。

by my-pixy | 2016-03-19 09:05