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2015年 11月 26日
35年目の大ピンチ
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 1980年製のご自慢の片側義歯の患者さんですが、来院が途絶え心配していました。網膜剥離などで入院続きだったそうで突然来院されました。主訴は欠損側の内冠脱落でしたが、あわや大事件寸前でした。ひどいときにはうつぶせで就寝するしかなかったそうですが、義歯は取り外せと再三指示れて数ヶ月続いていたそうですが、この間に8番頬側歯頚部からのコンポジット脱落、顎関節症様の疼痛などが発現したそうです。

さいわい、支台歯の移動などはなく5番の軟象除去後、逐一もとに復旧していくことができました。今回はスーパーボンドの遁路に利用した小ホールを気づきながら放置していたことが、脱落の原因になったようです。
若干の咬合調整だけで決着したので、その後1時間ほどをかけて可撤部のりベースやレジンの置き換えもすませ、全快でお帰り頂くことができました。しかし患者さんも74才、まだしばらくは頑張れそうですが、上顎反対側にも不安はあり、今後さらに長期観察の機会をもてるかどうか気がかりです。

この1症例からは実に多くのことを学びました。
1.始めは義歯の欠損部補綴の強度不足で破折し金属咬合面を追加しました。
2.遊離端義歯だったものに8番のレストを追加し、やがてその補強、カリエス処置などで依存度は高まります。
3.対顎6番の挺出は当初から気になっていましたが手は加えませんでした。進行はしていません。
4。摩耗による5番内冠頬面のピンホールは数年前から放置してきましたが、リン酸亜鉛セメントにとっては歯頚部マージンからの溶解とは異なるダメージになることがはっきりしました。  
5.40才から75才の間に口腔内は徐々に狭くなり、8番は歯列からはみだしていきます。プラコンの良い人でも頬側歯頚部からのカリエスが防げず、ペリオを含め大切な咬合支持歯を喪失する危機が迫ります。(この人は2例目です。)
6.年齢とともに開口量は低下し咬合面などの撮影は困難になります。マクロレンズの変更が必要になるかもしれません。

by my-pixy | 2015-11-26 14:54
2015年 11月 25日
修理リベースも可能、軽量新製品第2号
f0103459_1446754.jpg こちらも12月装着予定の上顎総義歯です。重く吸着が悪い金蔵床の欠点を補いちょっぴり華やかさも持たせたいと思っています。目下サンプル義歯にてリベースや修理の可能性などもテスト中です
右側の欠損熾烈の模型は3Dプリンターで縮尺1/2でつくられたものだそうです。これから鋳造することには難問があるようで悪戦苦闘中の副産物とのことでした。(株式会社横浜トラスト歯科技工研究所)

by my-pixy | 2015-11-25 13:52
2015年 11月 20日
片側義歯から両側性へ
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  臨床ファイルⅤでも多くの片側性のパーシャルデンチャーを見て頂いていますが、経過の長いケースでは支台歯やインプラントのロストに伴い、両側性に移行せざるをえないものもでてきています。2015年はそんな年回りなのか4ケースが両側性に移行しました。

 少し苦労はしましたが、金属床義歯の上手な方の協力を得て、コネクター以外のこれまでのコンポーネントはすべて活用し、違和感も最小限で満足に使って頂いています。
 義歯床内部で支台装置とコネクターのスペースとの取り合いになりますが、古い義歯を一部解体しテンポラリーを使って、コネクター以外に余分なものを出さないようにするやりくりは楽しみな部分もあります。院内と外部のラボとのコミュニケーションもだんだん上手になってきました。これぞ「パーシャルデンチャー新時代」です。

by my-pixy | 2015-11-20 13:22
2015年 11月 03日
1970年頃のこと
f0103459_13511280.jpg  f0103459_179290.jpgすれ違いやリン酸亜鉛セメントの話にもどったところで、雑誌に原稿を書き始めた頃のことを振り返ってみた。最初の1本は根面アタッチメント紹介で、卓球部の先輩から新しいもの好き!とガツンとやられたので、数年のトライアルの後2本目のリカバリー原稿をまとめた。
 3本目は咬合支持にまつわるもので、ネーミング,タイトルに迷ったもののオーバーデンチャーをベースに、すれ違い咬合への挑戦の皮切りになるものだった。ペリオ、テレスコープ泥まみれだったし、自動車事故で数年にして亡くなられて、すっきりした形にはまとまらずじまいだったが、思い入れは大きい症例だった。f0103459_17175684.jpg



1972年の「クラウンブリッジの臨床」という共同執筆の書籍では、恐れも知らず背伸びをして、補綴学教室の諸先輩の中に割り込んでいった。咬合の保全と改善という最終章で、動揺歯の固定、全顎補綴の問題点などを書くとは・・・・。しかしペリオ不在の中での挑戦は最も悔いの残るものになった。同じ症例の10年の術後経過は1985年の臨床ファイル1.に再録したが、この立派な本は書棚の奥で眠りつ続けている。
その後の「オールセラミックス」「パーシャルデンチャー新時代」なども力作ながら時期を得なかった

by my-pixy | 2015-11-03 13:33
2015年 10月 11日
カタカナとローマ字
 近年、会社名なども昔とは違って何の会社かどんどん分からなくなっていますが、ブログの記事なども分かりにくくなってきました。「一次固定・二次固定の5W1H、その答えが全てではないが・・・・」真ん中でピーマンになって(分からなくなって)ネットで調べる羽目になりました。「誰が,何時、何処で」と同じことらしいことが分かりました。
確かに動揺歯の固定についても昔は暫間固定、永久固定などと言われていました。耐久性だけを意味するような表現に不満で、永久固定という名の暫間固定などと悪口をいっている間にだんだん使われなくなりました。次が一次固定、二次固定ですがやはりペリオ側からのネーミングのようで、固定という概念自体に曖昧さを感じ、装置自体の方から呼び名を決めたいわれわれとしては、固定性か可撤性かで区分したいと感じています。Fixed bridge、Removal partial dentureからの延長で、長年の因縁もこもっています。
 来年のもくあみ会もそんな話題になりそうですから,東京オリンピックの二の舞にならないようアピールしたいと思っています。もちろん,クロスアーチスプリントなどは敵性用語です。

by my-pixy | 2015-10-11 13:12
2015年 10月 06日
伝統と継承・1
f0103459_9581647.jpgレストは完全に無くなりエーカース鉤がくさびになってリテンションを担っていた。支台歯のインレーを削ってレストスペースと小さなガイディングプレーンを確保して、7の外冠の取り込み印象をかねて印象採得し2回目の来院で完全復旧した。可撤性ならざらばの芸当である。
7番は歯冠長もないテレスコープだったが何より頑強だったことが長寿命の鍵で、おそらく今後も長期間継続してその役を果たしてくれるだろう。挺出した上顎の6番は、状況によっては大幅な短縮を行っただろうがこのケースではその必要を認めなかったので、若干の調整のみにとどめた。

by my-pixy | 2015-10-06 16:34
2015年 09月 28日
嬉しいメール
今朝パソコンをつけると嬉しいメールが入っていました。
「半年間にわたる基本ゼミ、本当にありがとうございました。大変多くのことを学ばさせて頂いたのですが、何よりも歯科臨床に対する基本姿勢を学んだ半年間であると感じております。明日からは早速臨床の日々ですが、筋の通った臨床を地道に行い、いずれまた先生方の前で症例発表できるようになりたいと思います。ありがとうございました。」
 最年少組27才の若手ですが大学在籍者が多い中、臨床まっしぐらのスタンスに注目していました。下の画像は彼の最終ケースプレ初診時のものです。難しい咬合崩壊症例ですが怖めず臆せず真っ向勝負していました。まだ詰めには到っていませんでしたが、年内にはきっと結果を出してくるでしょう。
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 彼のプレゼンを見ていたら、無我夢中だった私の1966年のケースを思い出しました。石膏模型の写真しか残っていませんが、写真を見ながらKA367に入力してみるとそっくりです。模型の写真も瓜二つといっても良いでしょう。われわれ歯科医は50年以上も同じような欠損を追いかけているようです。経過の記録はないので参考症例にはなりませんが、
 1. 4犬歯や下顎前歯群の健在
 2. 大臼歯部咬合支持の低下
 3. 咬合位低下とディープ.オーバーバイトなど、ナチュラルヒストリー的には興味深いことです。
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by my-pixy | 2015-09-28 08:27
2015年 09月 18日
パーシャルデンチャーの機能と形
f0103459_1815580.jpg いつまでマダガスカルだという声が聞こえてきてようやく本来の話題に戻りました。臨床ファイルⅤの合本が一部出来上がってきたおかげです。
 146ページというボリュームで一冊では600gになり、数冊まとまるとずしりという感じになってしまいました。軽量化の目論見は少々はずれましたが、広告もなくパーシャルデンチャーに特化した話題は見応えはあると思います。この本のタイトルはブログ「土竜のトンネル」タグから引き継いだもので内容的にもブログの書籍化ですが、同時に1985年に始まった臨床ファイルシリーズの最新版の任も背負っています。いつまで続けられるかは不明ですが、形は変わっても現役引退までは頑張るつもりです。同時に世代差を補う意味も含めて、臨床基本ゼミOB会の方々にも参加して頂く試みもVシリーズがら継承しています。少しづつでも軸足はこちらに移っていくでしょう。

 表紙の画像はマダガスカル地下水路の開口部で、電線のように見えるのはバーミヤンの木の根です。つららのように水を求めて降りてきた木の上には、イチジクのような実を求めてワオキツネザルが群がっていました。f0103459_930061.jpg

 

by my-pixy | 2015-09-18 18:16
2015年 09月 08日
臨床ファイル Ⅴシリーズ合本
f0103459_13221867.jpg土竜のトンネル8月18日に予告したとおり臨床ファイルⅤシリーズの合本を製作作中ですが9月24日仕上がります。新しい合本は150ページで新たな装丁で軽量化を目指しています。バインダーに変わる新たな試みも進行中ですが、発送は2015基本ゼミが終了する28日からになります。これに伴いこれまでの分冊のものは在庫がなくなり次第販売を中止します。

f0103459_10321623.jpg合本の表紙に使った画像は先日のマダガスカル旅行の時のものですが、地下水脈に根を下ろす地上のマングローブのような植物の陰です。状況が分かりにくいので全体像もアップします。電線かワイヤーのように見えるのはこの根の一本です。

by my-pixy | 2015-09-08 09:50
2015年 08月 18日
臨床ファイル Ⅴシリーズ
f0103459_8164550.jpg  2013.4月にスタートした臨床ファイル Ⅴシリーズは号を重ね、最近のもくあみ会レポートで6冊になりました。
 号によっては在庫の無くなるものも出てその都度2版、3版を追加してきましたが、今回、在庫調整も兼ね1〜6を通して合本した形のものを製作することにしました。
 バインダーで統合することを止め、用紙や綴じ方も変更することでより低コスト化を目指しています。記事の内容は変更しませんが表紙、目次、扉などの変更が必要になるため、9月中旬を目標にしています。

 現在、Vol.1、Vol.2、Vol.3は在庫僅少ですが、Vol.5、Vol.6は2桁の在庫があります。しかし、その解消よりも、基本ゼミなどでお逢いするより多くの若い先生たちに、現実の症例の経過を見てご自分でも記録して頂きたいことが願いです。

by my-pixy | 2015-08-18 14:20